食道扁平上皮癌に対する根治的化学放射線療法において、治療前に治療抵抗性を予測する目的で研究を行った。放射線によるDNA損傷に注目し、その修復遺伝子46個について次世代シーケンサーを用いて食道癌51検体の変異解析をおこなった。その結果、体細胞変異については治療抵抗性と相関を認める候補遺伝子はなかったが、遺伝子多型に注目するとPARP1遺伝子の多型が、根治的化学放射線療法の治療抵抗性と相関を認めた。その結果をvalidationするために、食道癌に対して根治的化学放射線療法を行った患者の、治療前の生検検体を61例収集した。内訳は、感受性群41例、抵抗性群20例であった。DNA抽出を行い、sanger法によりPARP1の多型の有無を解析したところ、59例について解析が成功した。59例中、PARP1の多型を認めたのが38例、多型を認めなかったのが21例であった。治療抵抗性との関連を解析してみると、感受性群では多型あり26例(65%)、多型なし14例(35%)、治療抵抗性群では多型あり12例(63%)、多型なし7例(37%)でり両群間に有意差を認めず。PARP1多型と根治的化学放射線療法との治療抵抗性の相関はvalidationできない結果であった。
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