研究実績の概要 |
患者組織由来脂肪幹細胞の抽出とその機能解析、マウスを用いたin vivo 分化誘導とその機能評価 外科手術により皮下組織から効率的かつ安定的に脂肪組織由来幹細胞を抽出する方法を構築した。具体的には、手術時に皮下組織から脂肪組織を清潔状態で手術機器(クーパー)を用いて切開し、これを切除後、生理食塩水で洗浄、清潔下にミンスを行い、粗大な組織をフィルターで除外した後に、遠心してペレットとして細胞集塊を抽出した。この細胞ついてはFACSで表面マーカー解析を行い、CD34陽性、CD31陰性の集団に加えて、CD34陰性、CD31陰性の集団もとらえることができた。これらの細胞を維持する培養液についても検討をおこなった。培養液はDMEM/F12に10% KnockOut Serum Replacement, 1% MEM NEAA, 1% GlutaMAX-1, 1mM Sodium pyruvate, 50ug/mL L-Ascorbic Acid, 10ng/mL bFGF, 2ng/mL TGF-betaの組成を用いることで、培養細胞を安定的に維持継代することができた。今後はCD34陽性、CD31陰性の細胞集団をより多く抽出できる技術および培養液組成の改良を行い、再現性の高い安定したものにすること、抽出した幹細胞についての機能解析を行い、特異的な分化の方向性や系譜について検討を行う。 抽出した脂肪幹細胞についてFACSで表面マーカー解析(CD31、CD34)を行い、目的の細胞集団(CD34陽性、CD31陰性)をとらえていることが確認できたことから、これらの細胞集団を免疫不全マウス(NOD-SCID)に移植し、分化誘導をおこなったところ、筋組織への分化を示した。現在in vitroでの筋組織などの間葉系組織への分化誘導を試みている。
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