研究課題/領域番号 |
15K19923
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
工藤 智明 大阪大学, 医学(系)研究科(研究院), 寄附講座助教 (30750640)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 低酸素プレコンディショニング / 末梢血単核球 |
研究実績の概要 |
虚血性疾患に対する骨髄幹細胞などの細胞移植による心血管再生治療は一定の治療効果があると認識され、世界中で臨床応用がなされているが、その治療効果は十分とはいえない。そのため、治療効果を向上させる有用な方法の確立が望まれている。 本研究は、末梢血単核球を低酸素プレコンディショニングした細胞を移植することにより血管再生治療の効果を向上させる簡便かつ有用な方法であり、低酸素プレコンディショニングしたヒト末梢血単核球をマウス下肢虚血モデルに用いて検証することを目的としている。 in vitroでの解析では、ヒト末梢血単核球における低酸素プレコンディショニングの至適条件の検討を行い、ヒト末梢血単核球の細胞接着・生存、血管再生能、血管形成能の評価することである。 in vivoでの解析では、重症複合型免疫不全症(SCID)マウスの虚血下肢に低酸素プレコンディショニング処理したヒト末梢血単核球移植を行うことで、血管再生治療効果への影響を評価し、 安全性を評価することである。 主に健常者10例の末梢血単核球を用いて、低酸素プレコンディショニング処理による、ヒト末梢血単核球の至適条件を決定することを行い、引き続き、主に低酸素プレコンディショニング処理後のヒト末梢血単核球を小動物(マウス)虚血下肢筋肉内に細胞移植した後に、細胞生着率の上昇および血管再生治療効果が向上するか否かと、安全性について検討する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
健常者から末梢血単核球を単離、採取した末梢血単核球を10%自己血清添加リンパ球培養用培地を用いて5 × 106cells/mlに希釈し浮遊させインキュベーター内で様々な条件(O2濃度、CO2濃度、温度、時間など)で培養を行い、細胞接着能、細胞生存、血管新生能を評価している。 細胞培養は、培養温度:33℃、酸素濃度:2%、二酸化炭素濃度:5%で24時間が条件としては最適であったため低酸素プレコンディショニングの条件とした。 低酸素プレコンディショニングで培養した末梢血単核球と、通常条件(培養温度:33℃、酸素濃度:20%、二酸化炭素濃度:5%で24時間)で培養した末梢血単核球の細胞接着能、細胞生存、血管新生能を評価しつつある。
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今後の研究の推進方策 |
in vitroでの低酸素プレコンディショニングで培養した末梢血単核球が有意に細胞接着能、細胞生存、血管新生能を向上させるであろうという結果が明確になれば、低酸素プレコンディショニング処理後のヒト末梢血単核球を小動物(SCIDマウス)虚血下肢筋肉内に細胞移植した後に、細胞生着率の上昇および血管再生治療効果が向上するか否かと、安全性についてin vivoで検証する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
in vitroでの検証を続行しつつ、その結果をもとに、低酸素プレコンディショニング処理後のヒト末梢血単核球を小動物(SCIDマウス)虚血下肢筋肉内に細胞移植した後に、細胞生着率の上昇および血管再生治療効果が向上するか否かと、安全性についてin vivoで検証する予定である。
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次年度使用額の使用計画 |
in vivoでの解析のために小動物(SCIDマウス)の購入・飼育費、培養関連試薬、一般試薬、実験用具、手術用器具購入費のために必要である。また、研究成果を発表するための旅費や雑費として必要である。
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