研究課題/領域番号 |
15K19927
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研究機関 | 帝京大学 |
研究代表者 |
松山 重文 帝京大学, 医学部, 講師 (90713420)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | トロンボモジュリン / 心臓移植 / 冠動脈 / 制御性T細胞 / マウス |
研究実績の概要 |
臓器移植における最大の課題である拒絶反応は急性拒絶反応に関しては免疫抑制剤やステロイド等の投与方法や開発により、移植成績は良好な傾向となった。一方で、慢性拒絶反応に関しては依然制御できない状態であり、移植臓器不全の大きな要因となっている。慢性拒絶反応は微小血管の内膜肥厚や微小血管炎が一因とされており、長期の免疫反応の中で血管内膜トロンボモジュリン(以下、TM)が減少し、それが慢性拒絶反応の基盤となるのではと考えた。今回、TMの心臓移植片に対する冠動脈内膜肥厚抑制効果と抗炎症効果を検討し、同時に免疫制御細胞の誘導の有無と慢性拒絶反応制御の解析を行う。 平成27年度は無治療群とTM投与群の作成と同時に、TMのtitration(TM投与量128U、12.8U、1.28U/匹)を行い、各群での中間生存期間(以下、MST)を測定した。MSTは無治療群7日間、TM128U投与群50日間、TM12.8U投与群24日間、TM1.28U投与群17日間であった。現在、免疫組織染色によって冠動脈内膜に分布するTMの変化について調査中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
・無治療群とTM投与群の作成と同時に、TMのtitration(TM投与量128U、12.8U、1.28U/匹)を行い、各群での中間生存期間(以下、MST)を測定した。 ・各群の心臓病理を免疫組織染色で評価中である。
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今後の研究の推進方策 |
平成27年度の実験を更に進める。現時点で、トロンボモジュリンは1匹あたり128U投与によって生着延長効果を認めるため、これを基準に実験を進める。解析方法は既に過去に多数行っており、フローサイトメトリー分析や養子移植実験、免疫組織染色、サイトカイン定量等を行う。実験は研究代表者である松山重文が行う。実験を進めるうえで帝京大学外科学講座の内山雅照に適宜協力を求める。
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次年度使用額が生じた理由 |
・マウス繁殖が予想より順調であり、追加購入するマウスが少なかった。 ・手術用機材の修理に費用を要したが、手術用薬剤(麻酔薬、縫合糸など)や染色用抗体(トロンボモジュリン)を節約し、当該年度の追加購入を控えることが出来たため
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次年度使用額の使用計画 |
平成28年度研究経費は平成27年度同様ほぼ消耗品である。研究設備は既存の設備(新見正則研究室)で全く問題ない。移植にはマウスがレシピエントとドナーで2匹必要である。CBAとC57BL/6はそれぞれ2000円程度であり、1移植あたり4000円が必要となる。このマウス購入費を減らすために、帝京大学中央動物センターと研究室においてマウスの交配を行っている。交配させるマウスの購入は必要であるが、すべての実験に必要な数を購入するよりも約10分の1となる。飼育費用は別途必要で、この研究計画書の実験を行うには交配用マウスの購入費用とマウスの飼育費用で約20万円となる。その他に、実験の基礎となる手術用麻酔や縫合糸などで約10万円必要である。免疫学的解析費用は細胞分離用のビーズやフローサイトメトリー用抗体、サイトカイン測定キット、リンパ球培養キットのものである。
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