研究課題
平成28年度は、前年度の解析で明らかになったLIN28B遺伝子について解析を行った。LIN28Bは、上皮間葉移行 (EMT) の特性を有するgefitinib耐性肺癌細胞株において発現が上昇していた遺伝子であるが、gefitinib耐性株で発現が抑制されているmiR-200cを誘導すると、LIN28Bの発現が抑制され、EMTの特性が消失した。また、miR-200cを誘導させるかLIN28B遺伝子をノックダウンすることにより、gefitinib耐性株における細胞増殖が抑制された。一方で、gefitinib耐性株の親株で同様の操作を行っても細胞増殖に影響を認めなかった。miR-200cの発現低下とLIN28Bの発現上昇は、EGFR-TKIに耐性化した肺癌組織においても認められた。LIN28BはEGFR-TKIに耐性を獲得した肺癌に対する治療標的となり得ると考えられた。以上のデータを踏まえ、Scientific Reports誌に研究成果を投稿し、掲載された。
2: おおむね順調に進展している
前年度までに得られた、耐性株におけるLIN28Bの発現上昇の知見をさらに解析することで、LIN28Bの耐性株における細胞増殖への影響が明らかになった。得られた研究成果を学術雑誌に投稿し掲載されたので、研究は順調に進展していると考えられる。
今後は薬剤耐性とEMTに関与する他のmiRの同定・解析を行っていく予定である。
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Scientific Reports
巻: 7 ページ: 40847
10.1038/srep40847.