研究課題/領域番号 |
15K19938
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
伊藤 正興 広島大学, 大学病院, 医科診療医 (80526236)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 原発性肺癌 / 分類学 / 遺伝子変異 / 予後因子 |
研究実績の概要 |
肺癌の原発巣及び転移リンパ節で肺癌に特異的に発現する遺伝子変異もしくはタンパク質を用いて,肺癌の予後及び治療方針に関わる分類を行うことを目的としている。申請当初は特定の遺伝子変異が治療の対象となる事は知られていたが、変異の発現自体が予後因子となるか否かについては分かっていなかった。現時点では,肺癌原発巣に高頻度にみられる特定の遺伝子変異の発現自体が術後の再発因子となること,またそれはすべての原発性肺癌で共通しているわけではなく、特定の組織型では必ずしも遺伝子変異の発現が予後因子となるわけではないことを見出している。この結果については既に国際学会で発表しており、best poster presentationとして口頭での発表の機会を与えられるという一定の評価を受けている。この結果については,海外発行の英文雑誌に投稿中である。 また、一般臨床では特定の遺伝子変異の発現の評価は外部の検査会社に依頼することが多いが、今回の研究過程で分類に用いる候補として有力な特定遺伝子の変異については,外部の検査会社やキット製剤に頼らず自身の研究室で検出する事に成功しており、その検出頻度においても外注した場合に比べ遜色ない結果を得ている。 転移巣に特異的に発現するタンパク質の同定についても検討しているが,治療の標的になり得る可能性も考慮すると,遺伝子変異による分類ほどは成果はまだ得られていない。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
申請当時は遺伝子変異の有無をキット製剤による検出・評価を予定していたが、分類に用いる候補として有力な遺伝子変異が独自に検出できるようになった事、さらにはそれにより検出した遺伝子変異が肺癌術後の再発予測因子であるという知見を得られた事は申請時には予測していなかった成果であった。特に後者については我々の仮説が立証可能である事を示唆する成果であった。最終目標としている転移リンパ節での分類についても、既に得られた見解や技術を使いながら検証できると考えている。 転移巣に特異的に発現するタンパク質の同定,それを用いた分類については,まだ十分な成果はあげられていないのが現状である。
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今後の研究の推進方策 |
現時点で我々が得ている見解や技術を用いて、転移リンパ節のみでの遺伝子変異による、治療方針と予後に関わる肺癌の分類を引き続き目指していく予定である。肺癌原発巣と転移リンパ節での遺伝子変異の相違の有無や程度を、一部の症例で次世代シークエンサーを用いて検証し、その結果に基づいて症例数を増やした群で遺伝子変異による肺癌分類の可能性を提唱することを最終目標とする。 転移巣に特異的に発現するタンパク質の同定とそれを用いた分類については,遺伝子変異による分類に比べて得られている結果は少ないが,治療方針にも関連した分類方法を見出すという点では遺伝子変異による分類の方が重要となる可能性は高い。タンパク質による分類と遺伝子変異による分類の両者を引き続き進めていくが,治療に関わりうるという点では優先すべきは後者と考えられ,少なくとも遺伝子変異による分類の提唱が行える結果が得られるように研究をすすめていく方針である。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初は遺伝子変異の検出にキット製剤を購入し使用することを予定していたが,自身で設計を依頼して必要物品のみを購入しするという,よりも安価な方法で十分な結果が得られる実験方法を確立でき,キット製剤の購入が必要なくなったため。
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次年度使用額の使用計画 |
引き続き,実験に必要な図書や消耗品の購入を予定している。具体的には,検体の切り出しにかかる人件費,検体から遺伝子を抽出する製剤・用具,遺伝子変異を検出するためのPCR用試薬,必要な見識を得るための図書の購入などに充てる予定である。
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