研究課題/領域番号 |
15K19939
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
古川 高意 広島大学, 大学病院, 医科診療医 (00736530)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 悪性胸膜中皮腫 / 抗癌剤耐性メカニズム / 次世代シークエンサー |
研究実績の概要 |
化学療法前の悪性胸膜中皮腫のホルマリン固定パラフィン包埋由来試料および血漿検体において,癌関連遺伝子を標的とするパネルを用いた次世代シークエンサーによる体細胞遺伝子変異,遺伝子発現の解析を行った。現在のところ,悪性胸膜中皮腫の術前化学療法前の組織検体において,ペメトレキセド(PEM)関連バイオマーカーであるDHFRを高発現する悪性胸膜中皮腫症例では無再発生存期間,全生存期間ともに,有意に不良であることが分かっっている。また,FDG-PET検査に関与する低酸素関連因子である糖輸送体(GLUT1)の発現と治療効果,予後と比較検討したところ,GLUT1高発現,および術前化学療法前後でのPET検査(SUVmax)の減少率が不良である症例も予後が不良であるという結果が得られた。 さらに,悪性胸膜中皮腫における術前化学療法前の生検材料,および同症例の手術検体のホルマリン固定パラフィン包埋由来の試料を用いたPaired Analysisに取り組んでいる。次世代シークエンスにより,3つの観点(①シスプラチン(CDDP)/ペメトレキセド(PEM) Related Gene,②癌幹細胞(CSOs) Related Gene,③低酸素応答(Hypoxia) Related Geneの観点)から,術前化学療法前後での遺伝子発現の変化を解析を行っている。その中から,悪性胸膜中皮腫の抗癌剤耐性メカニズムに重要な関与を示すいくつかの遺伝子を同定し,現在解析を行っている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
術前生検材料の質的,量的な影響によりRNA抽出,精製手順の確立に時間を要している。
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今後の研究の推進方策 |
悪性胸膜中皮腫細胞株においてクローニングを行った複数遺伝子の形質移入を行い,解析によりその遺伝子の機能を明らかにする。 化学療法前後の悪性胸膜中皮腫検体を用いて特定された抗癌剤耐性遺伝子のタンパク発現を免疫染色で検証し,臨床データとの相関性を解析する。
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次年度使用額が生じた理由 |
RNA抽出,精製手順の確立に至るまでに時間を要しており,癌関連遺伝子を標的とするパネルを用いた次世代シークエンサーによる体細胞遺伝子変異,遺伝子発現の解析への進捗がやや遅れたこと。
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次年度使用額の使用計画 |
実験,解析の継続。RNA抽出,精製手順の確立により,悪性胸膜中皮腫の抗癌剤耐性メカニズムに関与する遺伝子発現の絞り込みを行っていく。候補遺伝子群に関して形質移入用のcDNA を作製し,MPM 細胞株においてクローニングを行った複数遺伝子の形質移入を行う。MTT assay によるCDDP,PEM に対する耐性の評価など分子生物学・実験病理学の手法を駆使してその遺伝子の機能を明らかにする。 実験結果の国内外への発表。
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