研究実績の概要 |
2014年1月から2015年12月に当科で外科切除を行われた、EGFR陽性肺癌 (L858R陽性)を対象とし、FFPEスライドより脱パラフィン化し、一次抗体EGF Receptor (L858R Mutant Specific) (43B2) Rabbit mAb (CST社)を用いて反応させた。評価は染色強度(score 0-3)で行い×200倍視下で観察し、腫瘍全体で染色scoreの割合を記録。陽性細胞が存在し、かつ陰性細胞が10%以上を占める症例を不均一染色と評価した。対象は20例であり、このうち3例 は(15%)が、不均一染色であった。これらの陽性部と陰性部からそれぞれ核酸を抽出し、ターゲットシーケンス (Oncomine Cancer Research Panel)を行い、一塩基多型 (SNV)とコピー数多型 (CNV)を比較した結果、1例目は陽性部においてEGFRとCCNE1のCNVが陰性部よりも高値であった (EGFR: 陽性部 19.54/ 陰性部 3.03, CCNE1: 陽性部 18.59/ 陰性部2.59)。2例目は陽性部においてEGFRとMDM2のCNVが陰性部よりも高値であった (EGFR: 陽性部 8.21/ 陰性部 2.90, MDM2: 陽性部 6.65/ 陰性部 4.37)。3例目はCNVの変化は認めなかった。SNVに関しては3例とも不均一性を認めなかった。次に、ki-67染色 (clone MIB-1, DAKO)とTUNEL染色 (Rosch)を行い、陽性部と陰性部における細胞分裂と細胞死の状態の相違を評価したところ、症例1はki-67ラベルインデックスが陽性部で陰性部よりも高く (陽性部60.5%/ 陰性部 16.5%)、症例2はTUNEL染色で、陽性部で陰性部よりも多く断片化DNAによるシグナルが認められた。
|