研究課題/領域番号 |
15K19942
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研究機関 | 福島県立医科大学 |
研究代表者 |
松村 勇輝 福島県立医科大学, 医学部, 助手 (30747225)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 肺癌 / 生体揮発性有機化合物 (VOC) / ガスクロマトグラフ質量分析計(GCMS) / トータルイオンクロマトグラフ(TIC) / 選択イオン検出(SIM) |
研究実績の概要 |
本研究の目的は非侵襲で簡便に採取可能な被験者の口臭や体臭など(以下生体揮発性有機化合物、生体VOC)を分析し、病臭を特徴づける特異的な化合物(バイオマーカー)を機器でセンシングする事である。すなわち、『においで癌を診断する』ことの可能性を探索している。まず原発性肺癌に特徴的な臭いを同定するため、癌患者11名と健常者12名の皮膚ガスサンプルおよび呼気サンプルをMonoTrap®サンプリングキットで回収した。また癌患者については手術で摘出された癌組織と正常肺組織の気化成分も同キットで回収した。これらのサンプルをガスクロマトグラフ質量分析計(GCMS)のトータルイオンクロマトグラム(TIC)モードで比較した。 癌患者、健常者共に各ガスサンプルから500成分以上検出されたが、そこから室内環境、呼気用サンプリングバック、消毒用脱脂綿、石鹸等を由来とする夾雑成分を除外したものを皮膚・呼気由来成分とした。これらに関して癌患者と健常者に検出された成分の比較を行ったが、癌患者のみに検出される成分は投与された薬剤代謝の影響を加味する必要があるため、一定の割合の健常者からも共通して検出された成分を候補とした。各解析の結果、皮膚ガス27成分、呼気ガス3成分をマーカー候補とし、今後追加の解析としてGCMSの選択イオン検出(SIM)モードでこれらの成分の定量解析を行う予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
当初の予定では平成27年度までに各サンプルを集積し、平成28年度に解析を行う予定であったが、先行して研究を開始していたこともあり平成27年度内にサンプルの解析とマーカー候補の選択まで行うことができた。
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今後の研究の推進方策 |
マーカー候補として挙げられた皮膚ガス27成分、呼気ガス3成分をさらにGCMSの選択イオン検出(SIM)モードで定量解析を行い、候補の絞り込みを行う予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
効率的な執行に努めたため、残額が生じた。
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次年度使用額の使用計画 |
さらなる研究の推進のため、解析費用や、実験用消耗品などの物品費として使用予定である。
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