研究課題
我々は脳卒中関連遺伝子変異RNF213 c.14576G>Aが脳卒中の主たる原因である頭蓋内狭窄に大きな関連を持つことを明らかにしてきた。本年度の成果として、以下の2つの成果を得た。RNF213 c.14576G>Aを有する頭蓋内主幹動脈狭窄に関して詳細な検討を加え、狭窄血管の血管外径が縮小するnegative remodelingを起こしていることを明らかにし投稿論文が採択された。また、狭窄血管は頭蓋内主幹動脈の内頚動脈や中大脳動脈といった前方循環に特異的に発症していることを明らかにした。対比として椎骨動脈や脳底動脈といった後方循環の血管には発症していなかった。この血管に関して論文査読中である。また、RNF213 c.14576G>Aに加えて、発症に関わる別の遺伝子変異の検索を行っている。Whole exome sequence、target resequenceの結果、候補となる遺伝子変異を絞り込み、validationを行っている。実際には、RNF213 c.14576G>Aを有する血管狭窄と有しない血管狭窄で、脳梗塞発症に関わる危険因子(遺伝子変異)が異なるという興味深い結果であった。頭蓋内主幹動脈狭窄でもRNF213 c.14576G>Aの有無によって脳梗塞発症の予防の戦略に違いが生じる可能性を秘めており、脳卒中の個別化治療につながる可能性があると考えられる。さらなるサンプル収集を継続しており、同時にRNF213 c.14576G>Aのスクリーニングを継続している。
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すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件、 謝辞記載あり 1件) 学会発表 (15件) (うち国際学会 4件、 招待講演 2件)
Neuroscience
巻: 13 ページ: 66-77
10.1016/j.neuroscience.2016.02.013.