研究課題/領域番号 |
15K19951
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
金 太一 東京大学, 医学部附属病院, 助教 (90447392)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 医用画像 / 手術シミュレーション |
研究実績の概要 |
平成27年度は下記の研究実績により、6回の学会発表、英文論文2編、著書2編の業績であった。 1. 医用コンピュータグラフィックス構築の自動化:本研究責任者がこれまでに作成した600症例の医用コンピュータグラフィックス構築手法を帰納的に解析し、画像処理におけるレジストレーションとmulti-threshold法に関して半自動化を達成した。開発した手法は東京大学医学部附属病院の症例で既に臨床応用されている。 2. 微小解剖計算ポリゴンモデルの作成:プリミティブポリゴンから大脳、脳室、脳動脈、線条体などの微小解剖計算ポリゴンモデルを作成した。これによりこれまで存在しなかった微小解剖レベルの教科書的な3次元コンピュータ・グラフィックスを扱えるようになった。 3. 医用コンピュータグラフィックスと微小解剖計算ポリゴンモデル融合方法の開発:医用コンピュータグラフィックスと紙媒体の2次元微小解剖情報とをランドマークを用いた薄板スプライン法によって融合させることに成功した。実際の臨床の20症例に応用し、その誤差は0.64±0.88mm(平均±標準誤差)であり、臨床医療で使用するに充分な精度を達成できた。また脳幹モデルをベースモデルとして用いたレジストレーションの位置姿勢変化量を基準に他の解剖ポリゴンモデルをレジストレーションし、臨床で使用するに充分な精度を達成した。 4. 本研究システムのソフトウェアの開発:開発エンジンUnity Pro4を用いて、上記1~3の機能を実装したソフトウェアを開発した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成27年度はほぼ本研究計画書通りに遂行できたが、医用コンピュータグラフィックス構築の自動化に関しては更なる自動化、高速化に改善・改良の余地があると考えられた。平成27年度は6回の学会発表、英文論文2編、著書2編の業績結果であり、研究遂行の学術的報告は充分達成された。
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今後の研究の推進方策 |
平成28年度は原則として当初の計画通りとし、更に平成27年度に開発した機能の安定化および高速化を図る。 1.臨床的有用性の評価 平成27年度に完成させたシステムを臨床応用する。東京大学医学部付属病院脳神経外科における手術症例を対象とする。従来の手術と比較し、手術シミュレーションとしての優位性や精度を検証する。対象疾患と評価項目は、脳幹部海綿状血管腫手術における脳神経線維び脳神経核の局在、血管芽細胞腫手術における流入動脈と流出静脈の同定、頭蓋底髄膜腫手術における脳神経の同定とその走行、グリオーマ手術における言語野(脳表電気刺激とdiffusion tensor tractographyおよび機能MRIとの比較)、脳動静脈奇形手術における流入動脈と流出静脈の同定とする。症例数は上記疾患をそれぞれ10例とし、計50症例とする。 2.ユーザビリティ評価 東京大学医学部付属病院脳神経外科の臨床医15人を対象に本システムのユーザビリティを評価する。対象群を医師経験年数に分け、本システムソフトウェアのビューワ機能に関して、取扱い説明を受けずに、操作方法を習得するまでの時間を評価する。コントロール群には同施設で日常的に使用されている画像処理ソフトウェアAmiraとする。また、自由アンケート形式で本システムのユーザビリティを評価してもらい、システムのブラッシュアップにフィードバックする。
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次年度使用額が生じた理由 |
医用融合3次元画像構築の自動化に関する機能開発が平成27年度中に終了せず、引き続き平成28年度に開発する予定である。また微小解剖計算ポリゴンモデルに関しても静脈モデル、基底核モデル等が追加で必要である。
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次年度使用額の使用計画 |
プログラミング外注代(400千円)、ポリゴンモデル開発外注代(380千円)
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