研究実績の概要 |
悪性脳腫瘍の治療抵抗性に脳腫瘍幹細胞が大きく関わっていることが近年示唆されるようになり、脳腫瘍幹細胞が治療の重要な標的として認識されはじめている。このことから、脳腫瘍幹細胞を制御するmicroRNA(miRX)とその標的分子の単離・同定を行うことにより、悪性脳腫瘍の治療抵抗性機序を解明することを目的に本研究を行なっている。 本年度も、脳腫瘍(膠芽腫)患者の手術摘出標本のうち病理診断後の残余を用い、Neurosphere法による培養による脳腫瘍幹細胞の樹立を継続した。加えて、脳腫瘍幹細胞を樹立した元の脳腫瘍(手術摘出標本)の遺伝子解析を行なった。手術摘出標本のパラフィン切片、凍結検体を用いてIDH1/2, MGMTメチル化, ATRX, H3K27M等を免疫染色、methylation specific PCR, sequence等の手法で解析した。 また、候補miRXの発現誘導が可能な脳腫瘍細胞株、脳腫瘍幹細胞を作成した。miRXの発現誘導には、テトラサイクリン発現誘導系を用いた。テトラサイクリン反応性プロモーターの下流にmiRXに加えてGFPも挿入し、GFPの蛍光で発現誘導されているかどうか確認できるようにした。テトラサイクリン存在下でmiRXの発現誘導を行い、脳腫瘍細胞の増殖能の変化を検討した。脳腫瘍幹細胞でもmiRXの発現誘導を行い、増殖能の変化、stemness維持能の変化を検討した。
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