研究課題
提供していただいた膠芽腫患者から採取した9種類の膠芽腫幹細胞株は5種類がNotch阻害剤(MRK-003)に対し高感受性であり、4種類が低感受性であることを明らかにした。(J Neurooncol 2014)。MRK-003高感受性群(n=5)と低感受性群(n=4)に対するMRK-003およびAkt阻害剤(MK-2206)処理によるリン酸化Akt発現レベルの変化をwesternblottingで検証した。次にMRK-003感受性群と低感受性群対しMK-2206単剤の有効性をMTT assayを用いてを評価し、さらに低感受性群に対してはMRK-003とMK-2206の2剤併用の効果も評価した。結果は、MRK-003高感受性群はMRK-003およびMK-2206処理によりリン酸化Aktの発現量は著明に低下した。一方、MRK-003低感受性群はMRK-003処理ではリン酸化Aktの発現量低下はわずかであったが、MK-2206処理によりリン酸化Aktの発現量は劇的に低下した。MTT assayの結果からMRK-003高感受性群と低感受性群はMK-2206単剤処理により濃度依存性に細胞増殖抑制を呈した。またMTT assayから算出したIC50からは2群間で有意な差は認められなかった。低感受性群は、2剤併用により単剤よりも劇的に細胞増殖能が低下した。以上の結果より、MRK-003低感受性群に対するNotch阻害剤とAkt阻害剤の併用による有効性が示唆された。
2: おおむね順調に進展している
Notch阻害剤低感受性群に対し、Akt阻害剤はリン酸化Akt発現量を低下させることを確認した。またNotch阻害剤との併用では単剤よりも明らかに細胞増殖能を低下させていることも確認したためおおむね予定通りに進行している。
Notch阻害剤低感受性膠芽腫幹細胞群に対するNotch阻害剤とAkt阻害剤の2剤併用が幹細胞形質やアポトーシスに対する影響も解析する。また、Akt阻害剤単剤も比較的有効性があると予測されるためAkt阻害剤単剤の効果も評価する。
使用した薬剤、試験試薬等が十分量であったため追加購入する必要性がなかった。
使用する薬剤・試験試薬等に割り当てる予定である。
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すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 謝辞記載あり 1件) 学会発表 (2件)
Journal of Neuro-Oncology
巻: 121 ページ: 239-250
10.1007/s11060-014-1630-z