研究課題/領域番号 |
15K19959
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研究機関 | 福井大学 |
研究代表者 |
磯崎 誠 福井大学, 学術研究院医学系部門, 特別研究員 (60464054)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | Arterial Spin Labeling / 脳血流量 / 脳血管障害 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は現在多くの医療機関で導入されているMRIを用いてArterial Spin Labeling(ASL)と呼ばれる手法により、定量的な脳血流評価の信頼性を検証することである。現在の定量的脳血流評価のゴールデンスタンダードはSPECTやPETといった放射性物質を用いて行う方法であり、これは信頼性の高い検査ではあるが被曝するという問題がある。ASLによる脳血流評価では被曝の心配がなく、繰り返し検査を行うことが可能となる。しかし、この技術はまだその定量値に信頼性が低く、多くの研究機関で改良が試みられているのが現状である。今回我々はenhanced ASLという独自のアルゴリズムを用いて定量的な脳血流評価を行い、これを従来から用いられている15O gas and waterをトレーサーとしたPET検査のデータと比較してその信頼性、有用性を検証する。 28年度はさらに数例の臨床症例数を得ることができ、全体で約20例のデータを集積することができた。これを疾患別に分けて解析を行い、現在英文論文を作成中である。ASLで得られた脳血流量(CBF)とPETで得られたCBFデータの相関関係はもちろんのこと、PETで得られた酸素摂取率や脳血液量などのパラメータとも比較して新しい知見がないか検討を続けている。また28年度は本研究から派生した脳循環代謝に関係する新しい知見について症例報告という形で論文発表を行った。29年度はこれら論文の完成と雑誌への投稿が目標であり、また同時に国内、国外の学会等にてその研究成果を発表していきたいと考えている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
データ解析を行えるだけの症例数を得ることができ、現在データ解析、論文作成を行っている。おおむね予定通りと思われる。
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今後の研究の推進方策 |
29年度は今まで集積したデータの解析と論文の完成と雑誌への投稿を行う。また同時に国内、国外の学会等にてその研究成果を発表していきたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
28年度はPETのトレーサーに在庫(予備)があり、物品費の支出が少なかった。また予定よりも学会参加が少なかったため、旅費も使用もなく、次年度使用額が発生した。
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次年度使用額の使用計画 |
29年度はトレーサー購入費に加え、データ解析のためのパソコン本体や統計解析ソフト、関連図書の購入を考えている。研究最終年度であるため、追加研究の必要性も出てくると思われる。また学会発表も積極的に行っていきたい。次年度使用額はこれらに当てたい。
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