研究課題/領域番号 |
15K19960
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研究機関 | 岐阜大学 |
研究代表者 |
高木 俊範 岐阜大学, 医学(系)研究科(研究院), 非常勤講師 (00452152)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | Nrf2 / 脳虚血再灌流障害 / 脳血液関門 |
研究実績の概要 |
Nrf2活性化剤であるBardoxylone methyl(BARD)0.6mg/kgの静脈内投与は、2時間の一過性中大脳動脈閉塞モデルにおいて、脳梗塞体積を減少し、神経学的機能を改善した。脳虚血後24時間では、ウエスタンブロットにおいてNrf2活性化ならびに代表的下流因子であるHemeoxygenase-1(HO-1)の活性化を認めた。免疫染色学的評価では、神経細胞ならびにアストロサイトの保護効果を認めた。 次にBARDによる脳血液関門の保護効果につき検討を行った。ワーファリン投与下に6時間の一過性脳虚血を負荷したモデルを作成し、BARD投与による脳梗塞体積、出血量、神経学的評価を行った。BARDは6時間の脳虚血後の脳梗塞体積は減少しなかったが、出血性梗塞を減少させ、出血量も減少していた。神経学的評価では、BARDの投与により神経所見の改善が認められた。BARD投与では脳血液関門の透過性亢進も改善した。免疫組織学的評価およびウエスタンブロットでは、血管内皮細胞、周皮細胞の減少の抑制が認められ、両者においてNrf2ならびにHO-1の活性化が認められた。 次に、新規Nrf2活性化剤であるRS-9による、2時間の一過性脳虚血モデルにおける脳梗塞体積ならびに神経学的機能を評価した。RS-9 0.2mg/kgの投与は脳梗塞体積を減少し、神経学的所見を改善した。またRS-9の投与により、Nrf2の活性化並びにHO-1の活性化を認めた。 現在の次の試験として、様々な脳虚血時間における脳梗塞体積減少効果について検討している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
BARDを用いた検討は予定通りに進み、その有効性を示せている。さらに脳血液関門の保護作用の検討もできており、こちらと合わせて、現在論文投稿の準備をしている段階である。また新規Nrf2活性化剤であるRS-9は使用の手続きなどで遅れが生じたが、有効性自体は示せており、概ね順調、むしろ予定よりも進んでいる印象である。
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今後の研究の推進方策 |
BARDを用いた脳血液関門の保護による出血性梗塞の抑制効果について、英文の論文を作成し、投稿を行っていく。 また新規Nrf2活性化剤であるRS-9を用いて、脳梗塞治療可能時間の延長の検討を行っていく。具体的には、様々な虚血時間を設定し、RS-9を投与することで脳梗塞体積が減少し得る虚血時間を探る。またRS-9による保護作用のメカニズムについても併せて検討を行う。これらの結果が出そろえば、論文投稿を行う予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
次年度使用額が生じているが、少額であり、ほぼ予定通りであったと考えている。
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次年度使用額の使用計画 |
次年度も予定通りに動物、抗体などの試薬に使用する。
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