研究課題
本研究では、もやもや病患者の頭蓋内・外の血管から抽出した RNA サンプルを用いて(1)マイクロアレイによる網羅的発現解析を実施、(2)RNF 213 変異や申請者らが同定した、もやもや病脳脊髄液中にに有意に高発現するペプチドとの関連を検証。さらに germ line 変異を確認し、(3)エピジェネティクス解析による転写調節機構とパスウェイ解析をもとに、もやもや病発症に関与する特異的遺伝子を同定。最終的に(4)もやもや病の動物モデルを作成することを目的とした。研究はその計画通り浅側頭動脈・中大脳動脈検体を用いたマイクロアレイによる発現解析の方法の確立から開始した。中大脳動脈検体は手術の際に採取するが、1x1mm以下の極少量でありRNA抽出において確実な方法は確立されておらず、各種抽出キットや試薬による実験を繰り返して検証した。微小検体からの確実なRNA抽出については本実験系にとって必須である。中大脳動脈検体は直ちにRNA laterへ保存しRNA分解を防ぎtRNAをTRIZOLおよびproteinase Kにより抽出した。しかしながら、質的および量的評価でRNA解析に耐えるクオリティのRNAは現在のところ得られていない。一方、我々は以前より脳脊髄液の網羅的発現解析を行い、特に小児のもやもや病患者において、Proenkephalin 143-183が有意に発現の増加がみられることを発見した。今回、もやもや病患者の頭蓋内・外の血管から抽出したRNAサンプルだけではなく、脳脊髄液中に含まれるRNAも対象としてマイクロアレイを用いた発現解析を行い、頭蓋内の他の疾患ともやもや病患者の2サンプルずつでの比較により予備検証を行うことでエピジェネティクス解析を行ったが、現在有意な結果が得られていない。
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World Neurosurgery
巻: 109 ページ: e446-e459
10.1016/j.wneu.2017.09.204