研究課題/領域番号 |
15K19963
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
峰晴 陽平 京都大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (50716602)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | もやもや病 / 遺伝子 / 環境因子 / 感染症 / 家族性 |
研究実績の概要 |
もやもや病患者の家族に対して、RNF213遺伝子のp.R4810K多型と病歴、MRA画像を調べて、脳血管障害のリスクを評価した。その結果、リスクアレルを持つ人は、有意に脳血管狭窄や閉塞に罹患するリスクが高いことを明らかにした。また、追跡期間中にも血管狭窄が進行することがあり、リスクアレルを持つひとの定期的な画像検査が必要である。逆に、リスクアレルを持たない人は、脳血管狭窄の発症リスクが極めて低く、MRAスクリーニングの必要性が低いことが分かった。現在論文が査読中である。 もやもや病と同じ血管撮影像を示すが、NF1やDown症候群などの背景疾患がある場合は、もやもや症候群として区別される。もやもや症候群とRNF213の関連については、関係ないという報告が認められた。今回我々はその検証を行った。その結果、ほとんどの疾患において、RNF213の関与が認められた。もやもや症候群においても、RNF213が大きく影響することが明らかとなった。論文はrevisionで採択される見込みとなっている。 もやもや病患者において、頭蓋内血管以外に、冠動脈や腎動脈に狭窄が見つかるケースが認められる。そこで、RNF213のp.R4810K多型と冠動脈疾患の関連について解析を行った。その結果、リスク多型は冠動脈疾患と有意な相関を示し、オッズ比が2倍以上(環境因子を補正して、オッズ比が2.9倍ほど)になることを示した。RNF213が脳血管のみならず、頭蓋外の血管にも影響を及ぼすことが明らかとなり、脳・心血管疾患の予防に向けて、RNF213関連の病態を明らかにする意義が示された。現在論文が査読中である。 もやもや患者からの血清と血液の採取を行い、順調にサンプルが集まっている。サイトカインの変化や外来生物由来DNAの検出を行い、環境因子を明らかにする予定としている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
解析に必要なサンプルが集まってきいている。今後、外来生物由来のDNA検出などを行う予定で、計画通りに進んでいる。論文を既に3報作成し、査読中の状態である。
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今後の研究の推進方策 |
既に集まったサンプルで、RNF213 p.R4810K以外の遺伝因子を特定するための実験を行う計画を立てている。リスクアレルを持ちながら脳血管狭窄がない人と、リスクアレルがないのにもやもや病を発症した人という極端な2群間で、遺伝子多型の差異を解析する。これにより、第2の因子が特定できると考えている。第2の因子が特定されることで、疾患発症に関わるシグナル系統が明確になり、発症モデル作成などの研究を推進することができると期待される。
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次年度使用額が生じた理由 |
ほぼ想定通りの予算執行となったが、わずかに余残した予算については、次年度に集中的に行うマイクロアレイ解析で使用する方が研究の成果を上げやすいと判断した。
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次年度使用額の使用計画 |
RNF213以外の遺伝因子検索のために次年度、SNPマイクロアレイ解析を行う
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