研究課題
Down症候群などの基礎疾患を背景とするもやもや症候群においても、RNF213 R4810Kが有意に相関していることを示した。基礎疾患の発症に関わる遺伝因子がRNF213と相互作用を持ち、もやもや病の発症を促進している可能性が示唆された。本研究の成果は原著論文として、J Stroke Cerebrovasc Dis 2016に掲載された。もやもや病患者の家族に対して、RNF213 R4810K変異のスクリーニングをする意義について検討した。変異陰性で頭蓋内血管病変を持つ者はなく、6年間のフォロー期間でも新規発症は認めなかった。変異保有者は変異非保有者に比べて有意に脳血管狭窄のリスクが高かった。このことから、R4810Kをもやもや病患者家族のスクリーニングに利用する意義があることが示された。そのほかの明らかな環境因子は明らかにならなかった。これらの結果は、J Stroke Cerebrovasc Disに投稿し、revised versionを提出して査読の結果を待っているところである。頭蓋外血管狭窄におけるRNF213 R4810K変異の関与についても検討した。冠動脈狭窄においてR4810K変異がリスク因子となっていることが示された。オッズ比は3-4倍でこれまでに特定された遺伝因子のなかでも非常に高い数値を示している。この結果は、PLoS One 2017に原著論文として採択された。
2: おおむね順調に進展している
もやもや病およびその類縁疾患や頭蓋外血管狭窄病変におけるRNF213 R4810K変異の影響について明らかにすることができた。環境因子の特定には至らないが、別の遺伝因子が強く働いている可能性を示すことができた。この結果をもとに、第2の遺伝因子特定に向けた実験を今年中に施行可能な状態となっている。研究期間中に当初の目的を到達できる見込みである。
既に患者サンプルは収集できたことから、全ゲノムのシークエンスにより、RNF213以外の遺伝因子を特定する実験を開始する。統計解析により第2のもやもや病遺伝因子を特定し、それを基礎にして、環境因子特定の実験についても計画をブラッシュアップしていく。
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PLoS One
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J Stroke Cerebrovasc Dis
巻: 25 ページ: 2632-2636
10.1016/j.jstrokecerebrovasdis.2016.07.004.