研究課題/領域番号 |
15K19979
|
研究機関 | 慶應義塾大学 |
研究代表者 |
菊地 亮吾 慶應義塾大学, 医学部, 助教 (10594723)
|
研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2017-03-31
|
キーワード | MIF / DEPDC1 / 脳腫瘍幹細胞 |
研究実績の概要 |
1. 脳腫瘍幹細胞におけるMIFの機能解析 単離した脳腫瘍幹細胞(BTSC)にMIF shRNAを用いて発現を抑制すると、p53の発現は変化しないままBTSCの細胞増殖が抑制された。この細胞を用いてNOD/SCIDマウスを用いた脳腫瘍モデルにおける治療実験を行うと、有意な生存期間延長が得られた。BTSCを標的とした脳腫瘍治療において、MIFは有用な標的分子と考えられた。
2. BTSC, 誘導型脳腫瘍幹細胞(iBTSC)における新規腫瘍抗原DEPDC1の発現・機能解析 BTSC, およびiBTSCにおける新規腫瘍抗原DEPDC1の発現をwesternblotを用いて確認した。iBTSCを用いたマウス脳腫瘍モデルの腫瘍においてもDEPDC1の発現を確認した。shRNAを用いてDPEDC1の発現を抑制するglioma細胞およびiBTSCを作成した。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
MIFのin vivoにおける解析はおおむね終了し、BTSCに対する標的分子として有用と考えられる。また、新規腫瘍抗原であるDEPDC1もBTSCにおいて発現していることを確認でき、発現・機能解析をすすめていく。当初の計画と大きく変更なく研究がすすんでおり、今後はとくにiBTSCよびglioma細胞を用いたマウス脳腫瘍モデルを作成し、in vivoにおける治療実験を行う。
|
今後の研究の推進方策 |
新規腫瘍抗原DEPDC1はglioma細胞およびBTSCに強く発現していた。また、iBTSCにおいても強い発現を認めた。MIFと同様にBTSCをターゲットとした治療の標的分子として有用である可能性があり、本年度は特にDEPDC1の発現・機能解析を行う。shRNAを用いてDEPDC1の発現を抑制させたglioma細胞U87をNOD/SCIDマウス脳内に移植し、マウス脳腫瘍モデルにおける治療実験を行う。 さらにiBTSCをC57/BL6マウス脳内に移植し、免疫正常なマウス脳腫瘍モデルにおける治療実験を行う。並行して、iBTSCにおけるin vitroでのDEPDC1の機能解析を行う。幹細胞における影響と分化した腫瘍細胞における影響についても解析を行う。
|
次年度使用額が生じた理由 |
抗体や培養試薬などの消耗品についてはこれまでの実験で使用してきたものを使いながら適宜補充を行い、遺伝子抑制実験なども行った。これらの結果を用いたin vivoの動物実験など、より高額となる実験については次年度により多く実験することが予想され、繰り越して使用することとした。
|
次年度使用額の使用計画 |
特にDEPDC1の発現・機能解析を行う。shRNAを用いてDEPDC1の発現を抑制させたglioma細胞U87およびiBTSCを作成したため、これらをマウス脳内に移植し、マウス脳腫瘍モデルにおける治療実験を行う。並行して、iBTSCにおけるin vitroでの機能解析をすすめる。
|