研究課題/領域番号 |
15K19984
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研究機関 | 福岡大学 |
研究代表者 |
森下 登史 福岡大学, 医学部, 講師 (20750756)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | パーキンソン病 / 脳深部刺激療法 / 光イメージング / ニューロモデュレーション / 機能的神経外科 |
研究実績の概要 |
本研究はパーキンソン病の病態生理を光機能イメージング(Near-infrared Spectroscopy: NIRS)を用いて明らかにすることである。初年度に続き、次年度である平成28年度はパーキンソン病に対する脳深部刺激装置植込み術前後での脳活動変化をNIRSを用いて明らかとした。予備研究として、まずは進行期パーキンソン病患者6名を対象とし、抗パーキンソン病薬を12時間以上内服中止とした時点における脳活動の状態を手術前と手術後1ヶ月時点で比較した。ブロックデザインという手法を用いて安静時と課題遂行時における脳活動変化の度合いを評価した。その結果、手の開閉運動という課題遂行時において、手術後の方が一次運動野の活性化が強く認められた。この結果から、脳深部刺激療法が脳の活動に与える影響のの一部が解明され、今後の症例の積み重ねによりさらに脳深部刺激療法の効果発現機序が明らかになることが期待された。なお、本研究結果は Frontiers in Human Neuroscience という査読ありのインパクトファクターのある国際ジャーナルに2016年12月に掲載された。現在も症例数を積み重ね、データの再現性および長期結果について検討中である。本研究に付随し、脳卒中後遺症である薬物抵抗性の難治性疼痛や痙縮などにおける治療前後での脳活動変化を上述の光脳機能イメージングを用いて明らかとし、査読ありの国際ジャーナルに複数掲載した。各論文の謝辞には本研究助成より一部サポートを得たことについて明記した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
申請時の研究計画と比較して症例数が十分に得られず、当初の2年間の計画のうち約3分2を終えた状態と自己評価している。研究実績でも述べたように、pilot study 結果は順調に論文化して発表することができた。今後はより多くのデータをまとめた形で、さらに多面的検証を行い研究を発展させる予定である。
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今後の研究の推進方策 |
本研究の一部は大学病院医療情報ネットワーク研究センター (UMIN) へと登録され、一般公開されているが、研究室ホームページでの被験者への呼びかけも行う。そして、現在あるデータをとりまとめて平成29年度にはさらに研究発表を行う予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
申請時の研究計画と比較して症例数が十分に得られず、当初の2年間の計画のうち約3分2を終えた状態と自己評価している。今後はより多くのデータをまとめた形で、さらに多面的検証を行い研究を発展させる予定であるため。
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次年度使用額の使用計画 |
オープンアクセスジャーナルへの掲載費用や実験に必要な消耗品、そして現在予定している国際学会への出張費用に充てる予定である。
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