研究課題
超高齢社会に突入した我が国おいて、要介護の危険性が高まる骨粗鬆症の克服は喫緊の医療課題である。骨粗鬆症は骨強度低下による骨折の危険性が高まる病態であり、骨強度は骨の量と質に規定される。我々はこれまでに、マイナーコラーゲンであるVI型コラーゲンやXII型コラーゲンが骨芽細胞の形や細胞間の結合・コミュニケーションを制御することで骨質の制御に関与していることを見出した。興味深いことに、これらのVI型コラーゲン遺伝子あるいはXII型コラーゲン遺伝子の変異はともに筋肉や腱に障害をきたすウルリッヒ病の原因遺伝子であることが我々の研究で明らかになった。しかしながら、VI型コラーゲンとXII型コラーゲンの関連性については不明である。本研究は、骨質制御メカニズムの解明を目指し、骨を作る骨芽細胞の細胞間コミュニケーション制御機構におけるVI型コラーゲンとXII型コラーゲンの役割について検討した。本研究により、骨形成時には、隣接する骨芽細胞間にVI型コラーゲンとXII型コラーゲンから構成されるコラーゲンのブリッジが形成され、これにより、骨芽細胞の細胞間コミュニケーションが構築されることが明らかになった。また、どちらか一方のコラーゲンが欠損すると骨芽細胞の細胞間コミュニケーションが障害されることから、このコラーゲンブリッジ形成には、VI型コラーゲンとXII型コラーゲンがともに不可欠であり(Izu et.al Cell Tissue Res 2016)、骨質維持における細胞間コミュニケーション機構の一端が明らかとなった。そこで、次に、これら2つのコラーゲンが協調的に制御している分子の同定を試み、幾つかの候補分子を選出することができたので、今後は、これらの分子に着目し、さらなる骨質制御のメカニズム解明を推進する予定である。
すべて 2016 その他
すべて 国際共同研究 (2件) 雑誌論文 (2件) (うち国際共著 1件、 査読あり 2件、 オープンアクセス 2件、 謝辞記載あり 2件) 学会発表 (2件) (うち国際学会 2件)
Cell Tissue Res.
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