活性酸素の一つである過酸化水素は、脊髄前角において、興奮性シナプス前終末に直接作用し、N型電位依存性カルシウムチャネル(VGCC)、リアノジン受容体、イノシトール3リン酸受容体(IP3R)を活性化してグルタミン酸の放出を増加させた。また、抑制性シナプス前終末にも直接作用し、IP3R活性化によりGABA放出を増加させた。このGABAは興奮性シナプス前終末やシナプス後細胞に作用して、過酸化水素によるグルタミン酸過剰放出や細胞興奮性増強を抑制しており、生体防御機構として機能していると考えられた。さらに、N型VGCC阻害薬は脊髄損傷モデルラットにおいて脊髄保護効果を有することが示唆された。
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