研究課題
人口の高齢化が進んだ現代の整形外科のあらゆる分野において、手術に用いる金属製インプラントは欠くことができない整形外科医の武器である。健康寿命の延伸を目指す患者の日常生活動作 (ADL)や生活の質 (QOL)に直結するこれらのインプラントを高機能化することは、非常に重要な課題である。我々が独自に開発したヨード担持加工技術は、金属インプラントの表面に形成した特殊な酸化被膜の微細孔の中にポピドンヨードを担持することで、抗菌性と骨親和性を同時に付加するこれまでにない革新的な技術である。この技術と当研究室でこれまで取り組んできたCAOS (Computer assisted orthopaedic surgery)技術を融合し、究極の個別化医療である抗菌カスタムメイドインプラントを臨床応用し世界に発信すべく、基礎研究を段階的に進めた。平成27年度には、ヨード担持加工インプラントの表面加工前後における表面粗さの変化の検証および、表面加工前後におけるインプラントサイズの変化の検証を順次実施した。表面粗さの変化は母材の表面加工の影響をわずかに受けていたが、コントロール可能な範囲内と考えられた。またインプラントサイズの変化はごく微量であり、臨床使用における影響は少ないと判断できる範囲であった。平成28年度には、製造プロセスにおける滅菌工程後の品質評価の観点から、各種の滅菌工程前後におけるヨード担持量の変化量の検証を実施した。滅菌前後のインプラント表面のヨード担持量は、表面加工の違いによる影響と滅菌方法により変化しており、臨床応用に向けては滅菌による変化を加味した担持量の設定と、最終工程における品質評価が必要であることが明らかとなった。これらのデータは薬事承認に向けてのインプラントの基本的特性に関する重要な結果であり、新しい知見を得ることができた。
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すべて 雑誌論文 (5件) (うち査読あり 5件) 学会発表 (5件) (うち国際学会 4件)
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