研究実績の概要 |
本研究の目的は,悪性末梢神経鞘腫瘍(MPNST)におけるヒアルロン酸の役割を調査し,ヒアルロン酸合成阻害薬である4-Methylumberiferone(MU)を用いたヒアルロン酸制御がMPNSTにおける腫瘍原性に及ぼす効果を評価することで、従来の治療法とは異なるヒアルロン酸をターゲットとした新規治療法を開発することである。平成29年度の研究実績としては、MUによる腫瘍増殖の抑制効果を実証して前年度に発表した論文(Ikuta et al. Antitumor effects of 4-methylumbelliferone, a hyaluronan synthesis inhibitor, on malignant peripheral nerve sheath tumor. Int J Cancer 140 469-479, 2017)の内容に関して、国内・海外関連学会で報告してきた。MPNST研究を行っていることをHPで公開、NF1患者を対象とした市民公開講座開催により、当院を受診するNF1患者は急増しており、現在120名をリスト化できている。整形外科受診した患者については、血液検体を採取し、生検まで行った患者からは凍結検体を採取して保管している。 これら患者の検体を用いてヒアルロン酸結合タンパク染色、ヒアルロン酸合成酵素による組織染色を実施して良悪性の鑑別に有用な所見や染色強度、および臨床成績との関連の調査を継続しデータを蓄積している。また、海外の施設と協力して、MPNST患者の血液、凍結組織検体を用いたDNA解析研究に参画しており、MPNSTの病因解明や薬剤抵抗性のメカニズムに関する知見を得るために、多施設共同研究を今後も継続していく予定である。
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