| 研究実績の概要 |
現在多くの手術や日常生活用品や乗り物の耐久性などに関して、有限要素法を用いたコンピューターシミュレーションが使用されている。整形外科疾患は、骨格の不整や神経の圧迫症状の増悪により、日常生活レベルが極端に落とさざるを得ないものとなる。本研究では、ウシやブタの材料定数を解析しながら、工学的手法である有限要素法を用いることで詳細なヒトモデルを作成する。そのモデルに様々な条件を加えることで、整形外科的疾患の病態を非侵襲的に物理学の角度から明らかにし、手術時期などの治療方針を決定する一助とし、患者を救う手立てとすることを目的とする。研究代表者である西田は、半切モデルから発展させた全周性脊髄モデルを作成し、脊髄から見た圧迫物（椎間板ヘルニア、後縦靭帯や黄色靭帯など）を設置、脊髄そのものにも挙動を加えることで、脊髄内の応力を解析し、脊髄を傷害している真の因子を明らかにしてきた（Nishida et al; J Spinal Cord Med 2011, 2012,2014,2015 in press,2016 in accepted）。また円錐部では脊髄と末梢神経である馬尾が混在するため、先の全周性脊髄モデルでは解析は困難であった。これらのことから、馬尾レベルの応力解析が必要となり、具体的には、ヒトと臓器のサイズが近い食用ブタから得た馬尾及び神経根の引張試験を行い（Nishida et al; Neural Regeneration Res 2015 in press）、そのデータを基に円錐部の応力解析を行った（Nishida et al; Exp Ther Med 2016 accepted）。中枢神経と末梢神経の応力解析を同時に行った報告はなく、今後さらなる発展が期待できる。
|
