研究実績の概要 |
【対象と方法】全例手術で得られた検体を用いた。肥厚靱帯群 (腰部脊柱管狭窄症)と非肥厚靱帯群 (腰椎椎間板ヘルニア)の2群に分けた。肥厚靱帯群5例(男性4例、女性1例、平均年齢71歳)、非肥厚靱帯群5例(男性3例,女性2例,平均年齢25歳)であった。検体を洗浄,薄切し臭化シアン分解の後,複数の蛋白分解酵素 (リシルエンドペプチターゼ,トリプシン等)を用いて可溶化し,LC-MS/MSで解析を行った。また,肥厚靭帯を背側,中間側,硬膜側の3層に分け比較検討を行った。【結果】 解析結果はエラスチン: 肥厚靱帯群35.0±13.1%, 非肥厚靱帯群57.2±5.7%, コラーゲン: 肥厚靱帯群57.8±13.9%, 非肥厚靱帯群31.8±9.6%であり、肥厚靱帯群は非肥厚靱帯群に比べてエラスチンの割合が減少しコラーゲンが増加する傾向を認めた。3層比較では、エラスチン(背・中間・硬膜側) (36.3±10.8%, 44.5±9.5%, 56.3±13.1%), コラーゲン(56.3±13.1%, 48.8±11.6%, 36.0±13.7%)と,より背側でのコラーゲンの増加とエラスチンの減少を認めた。非肥厚靱帯群に比べて肥厚靱帯群ではエラスチンの占める割合が低下し、コラーゲンが増加していた。
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