研究課題
未固定新鮮凍結遺体を用いて大腿骨頭靱帯切除モデルの作成を行った。当初の予定では関節鏡にて骨頭靱帯を切除する予定であったが手技的に煩雑であったため、前方筋間アプローチによる侵入と内側関節包の部分切開を用いて靱帯切除を行い、大骨頭靱帯の機能解析を行った。機能解析は、屈曲0°、30°、60°、90°、120°での回旋可動域を計測することで評価した。なお、可能な限り切開した関節包の影響およびアプローチの際の軟部組織損傷の影響を低減するために、縫合、閉創した状態で評価を行った。回旋可動域に関して、伸展0°、30°、60°では内旋、外旋ともに切除前、切除後で有意な差異は認めなかったが、屈曲90°および120°では骨頭靱帯を切除することで内外旋ともに有意に可動域は拡大する傾向を認めた。具体的には、屈曲90°での靱帯切除前後での差は内外回旋総可動域で平均15°、屈曲120°では内外回旋総可動域で平均20°拡大するデータが得られた。当初、CTにて骨頭中心の移動距離を評価方法として検討していたが、CT撮像中に下肢を保持することは、研究者の被爆の問題があり、また、対象とする御遺体の下肢が想定以上に大きかったため、患肢を屈曲・回旋した状態でCT内を通過することが困難であったため、その代替え案として可動域による評価に切り替えた。現在、小柄な御遺体で下肢保持器をオリジナルで作成することでCTでの3次元評価に向けて取り組んでいる。また、骨頭靱帯の免疫組織学的検討は、御遺体での免疫応答の問題もあり、今後実際の手術から得られた検体を用いる研究を検討している。
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