研究課題/領域番号 |
15K20005
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研究機関 | 愛媛大学 |
研究代表者 |
カーン モハメドシャキル 愛媛大学, 医学系研究科, 助教(特定教員) (70746867)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 二分脊椎 / 鶏胚 / 脊髄 / 運動神経 / GABA |
研究実績の概要 |
すでにモデル動物の作成の為の手術修練は終了し、多くの二分脊椎ヒヨコの作製に成功している。二分脊椎ヒヨコの運動障害の確認を行い、当初予定していなかった知覚異常についてデジタル カメラ等を利用してデータをまとめた。生直後には下肢の刺激に対して二分脊椎でも正常に近い反応が見られたが、生後4日では反応が低下し、生後10日では、ほとんど反応が見られなくなった。 同時に下肢の姿態や関連する筋肉の萎縮等について詳細に記録し、さらに灌流固定し筋肉の萎縮を正常動物と比較し、どの筋肉が特に障害されているかを解析した。また障害を受けた脊髄の免疫組織化学を行い、各神経伝達物質の変化を解析した。特に興奮性のグルタミン酸、アセチルコリンと、抑制性のGABAの増減に注目して解析した。GABAのみならず抑制ニューロンのサブタイフであるCalbindin, Calretinin等についても検討した。その結果、GABAを中心とする抑制系の入力が孵化後に急速に減少することが判明した。 さらに、電子顕微鏡専門技官の助力を得て、電子顕微鏡により運動神経に終わる興奮性シナプスと抑制性シナプスを球形小胞シナプスと扁平小胞シナプスに分けて形態学的に解析した。ここでも扁平小胞を含む抑制系シナプスが極度に減少していた。 また、アポトーシスの指標となるカテプシンの反応を免疫組織化学により染色すると、生後に脊髄の運動神経、抑制神経が強く障害されていることが判明した。 これらをまとめて、孵卵後に二分脊椎モデルで起こる神経障害が、脊髄神経のアポトーシスによるものであるとして、論文を投稿中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
すでに当初の研究計画のほとんどが完了し、論文作成が終わっている。かなりレベルの高いインパクトファクターが8前後の雑誌に投稿しているが、リジェクトされており、コメントに従って修正している最中である。
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今後の研究の推進方策 |
現在までの研究内容は一応一段落しているので、このデータを基にさらに二分脊椎の治療実験に取り組みたい。一部の期待出来る治療結果も得られているので、さらに実験を加えて論文作成に努めたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
当該年度は免疫組織化学を中心に行い、多くのデータが得られた。免疫組織化学は、適切な市販抗体が見つかったのであまり多くの費用が掛からずにデータを出すことが出来た。次年度は、電子顕微鏡に関するデータを多く必要としている為、電子顕微鏡の出来る技官の協力要請に、より費用が掛かると思われる。
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次年度使用額の使用計画 |
次年度は電子顕微鏡の専門技官の人件費に6万円X10ヶ月=60万円程度を考えている。当初予定していた抗体や薬品等を購入する費用は、現在までに購入したものが使用可能である為、必要分を追加すればよく、比較的安価で済む可能性が高いので、両者を相殺出来ると考えている。
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