研究課題
二分脊椎症は脊髄内にも傷害がおよび、運動、排尿障害、下肢の変形等が起こる重要な疾患である。しかし、これ まで適切なモデル動物が開発されていなかった為に充分な病態解明がなされていない。当研究室では、手術により脊髄を再開裂し、世界で始めて歩行異常を示す二分脊椎モデル動物を効率良く作成することに成功した。本研究は、神経伝達物質に対する免疫組織化学により上記神経異常に関する論文報告を行いながら、最終的には両神経異常を多光子顕微鏡により可視化、検討し、二分脊椎における歩行障害の原因を解明することが目的である。まず平成27年度はモデル動物の作成の為の手術修練に集中した。受精卵を孵卵器に入れ、 孵卵3日目に卵殻を切り取り羊水を一部取り除いて、鶏胚の脊髄背側を微少メスにより切開した。本手術は極めて繊細で、適当な指導 者の下で訓練し習熟しなければ安定した結果は得ることが難しい。本手術を開発した研究者に手術手技の指導を受け、すでに60例の二分脊椎ヒヨコの作製に成功している。平成28年度は抑制ニューロンの変化の指標としてGABA免疫染色を行い、抑制系の減少を確認した。さらにカスパーゼの免疫染色により二分脊椎ヒヨコの脊髄に生直前から神経障害が起こり始めていることを確認した。同時に運動障害の程度を動画データとして投稿ができるようデジタルカメラで記録した。平成29年度には本モデルを用い、特に興奮性のグルタミン酸、アセチルコリンと、抑制性のGABA の増減に注目して解析し、孵化後に運動機能が急激に悪化すること、それが孵化後の抑制神経系障害が原因であることを明らかにし、動物モデル分野では世界的に評価の高いDisease Models & Mechanisms (IF=4.7)に論文をKhanの第一著者論文として発表した。一方で、トレーサーを用いた二光子顕微鏡による解析を共同研究者との基礎実験を開始した。
すべて 2018 2017
すべて 雑誌論文 (6件) (うち国際共著 6件、 査読あり 6件、 オープンアクセス 6件) 学会発表 (2件)
Cell Tissue Res CTR-17-0327.R2
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