研究課題/領域番号 |
15K20006
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
小山田 亜希子 (堀亜希子) 九州大学, 大学病院, 研究員 (30589461)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | C型レクチン / 関節リウマチ / Mincle / MCL |
研究実績の概要 |
関節リウマチ(rheumatoid arthritis; RA)は慢性持続性の滑膜関節炎を呈する疾患であり、これまでその病因については解明されていない。本研究では滑膜に存在する自然免疫細胞の一つであるマクロファージにおけるmacrophage inducible C-type lectin(Mincle)やmacrophage C-type lectin(MCL)などのC型レクチンに着目した。これらの役割を解析するため、まず、マウスのコラーゲン誘導性関節炎(Collagen-induced arthritis; CIA)モデルを用いた。CIAの誘導は、トリII型コラーゲンと結核死菌を含む完全フロイントアジュバントのemulsionを0日と21日の2回、皮内注射を行うことで行った。C57BL/6背景の野生型(WT)マウスではほぼ毎回80%以上の発症率を確認した。次にMincle遺伝子欠損(Mincle KO)マウスを用いてCIA誘導を行ったところ、Mincle KOマウスではWTマウスと比較して発症率と関節炎症スコアの減弱がみられた。同様にMCL遺伝子欠損(MCL KO)マウスを用いてCIAを誘導したところMincle KOマウスと同じようにWTと比して発症率や関節炎症スコアは減弱していた。いずれのマウスにおいてもCIAの発症は完全には抑制されていなかった。このことからマウスCIAモデルにおいてはC型レクチンは関節炎病態形成に関わっていることが示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
Mincle KOマウスやMCL KOマウスの個体数の確保が十分でない。またMCL KOマウスに関してはバッククロスも十分とはいえない。これらを解決してCIA誘導実験を今後繰り返して行い、これらの分子のCIAモデルでの重要性を確認する必要がある。また、リンパ球やサイトカインの関連につてもまだ確認ができていない。 ヒトの検体を用いた研究についてもまだ十分になされていない。
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今後の研究の推進方策 |
Mincle KOマウス、およびMCL KOマウスの個体数を確保し、MCL KOマウスについてはバッククロスも十分に行い、CIAにおけるこれらの分子の重要性の再現性を確認する。CIAモデルにおける抗CII抗体価やリンパ球におけるサイトカイン産生の変化などを調べ、WTマウスとKOマウス間での比較を行う。 健常人、RA患者の検体を用いた解析も進めていく。
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次年度使用額が生じた理由 |
Mincl KOマウスとMCL KOマウスの個体数の確保が難しく、CIA関節炎誘導が十分におこなうことができず、この実験に使用するコラーゲン、完全フロイントアジュバント、結核死菌、フローサイトメトリー解析や抗体価を測定するための抗体(複数)などの試薬の購入を行わなかったためである。
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次年度使用額の使用計画 |
トリII型コラーゲン(CII)、完全フロイントアジュバント(CFA)、結核死菌を購入し、CIA誘導実験を繰り返し行う。また必要な抗体を購入して、CIA誘導後の血中抗CII抗体価をELISAで測定し、所属リンパ節における細胞について、表面抗原の発現やサイトカイン産生を抗体で染色しフローサイトメトリーによる解析を行っていく予定である。
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