研究課題
関節リウマチ(rheumatoid arthritis; RA)は慢性持続性の滑膜関節炎を呈する疾患であり、これまでその病因については解明されていない。本研究では滑膜に存在する自然免疫細胞の一つであるマクロファージにおけるmacrophage inducible C-type lectin(Mincle)やmacrophage C-type lectin(MCL)などのC型レクチンに着目した。まず健常人の末梢血からリンパ球を単離し、LPSて刺激し、Mincleの発現をフローサイロメーターで調べた。CD14陽性の単球系細胞では、LPSの濃度依存的にMincleの発現上昇が認められた。次に、マウスのコラーゲン誘導性関節炎(Collagen-induced arthritis; CIA)モデルを用いた。CIA誘導は、トリII型コラーゲンと結核死菌を含む完全フロイントアジュバントのemulsionを0日と21日の2回、皮内注射を行うことで行った。C57BL/6背景の野生型(WT)マウスではほぼ毎回90%以上の発症率を確認した。次にMincle遺伝子欠損(Mincle KO)マウスを用いてCIA誘導を行ったところ、Mincle KOマウスではWTマウスと比較して発症率と関節炎症スコアの減弱がみられた。これらのマウスの血清中の抗CII抗体価をday21とday46で測定したところ、WTマウスに比してMincle KOマウスでは抗体価が低い傾向にあったが、両者の間には有意差は認められなかった。次にMCL KOマウスを用いてCIAを誘導したところMincle KOマウスと同じようにWTと比して発症率や関節炎症スコアは減弱していた。いずれのマウスにおいてもCIAの発症は完全には抑制されていなかった。
3: やや遅れている
Mincle KOマウスおよびMCL KOマウスのC57BL/6へのバッククロスが困難で個体数の確保が難しく、CIA誘導実験の反復実験が十分でない。抗体価の測定に関しても、total IgGは確認できたが、サブクラスの解析も必要であり解析を行ったが、検出がうまく実施できていない。これらを反復して行い、WTマウスとKOマウス間での比較を行う必要がある。
Mincle KOマウス、およびMCL KOマウスの個体数を増やして反復実験を行い、有意差についても再検する必要がある。またサブクラスを含めた抗体価やリンパ球の解析を行い、WTマウスとそれぞれのKOマウスでの比較を行う。KOマウスについては、C57BL/6へのバッククロスを十分する必要がある。
マウス個体数の確保が十分でなく、反復的なCIA誘導やフローサイトメトリーや免疫染色などの実験が十分でなく、これらの実験に必要な抗体やコラーゲンなどの試薬などの購入が予想より下回ったため
マウス個体数の確保を進め、上記実験等を進める
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Arthritis Research & Therapy
巻: 18 ページ: -
10.1186/s13075-016-1086-y.
Foot & Ankle International
巻: 37 ページ: 262-8
10.1177/1071100715609981