研究課題
ANGPTL2は分泌タンパク質であるため、当初より糖鎖修飾が存在することが予想されていた。糖鎖修飾はN型およびO型糖鎖修飾に分類できるが、N型糖鎖修飾については、オリゴ糖トランスフェラーゼ(OGT)によって糖鎖修飾が行われることが知られている。OGTはAsn-X-SerまたはAsn-X-ThrのAsn残基に糖鎖を付加することから、ANGPTL2においてもOGTが認識するコンセンサス配列より2カ所にN型糖鎖修飾が付加されることがデータベース上においても明らかとなっていた。実際我々も、ANGPTL2を恒常的に高発現する培養細胞の培養上精より精製したANGPTL2タンパク質を用いてPNGase Fで処理した場合、SDS-PAGEにて解析した際に分子量が減少することを確認していた。最近、我々はANGPTL2タンパク質がN型糖鎖修飾に加え、O型糖鎖修飾を受けることを見出した。NeuramidaseとO-glycosidaseを用いて精製ANGPTL2タンパク質のO型糖鎖修飾を切断した場合、N型糖鎖修飾切断時に比べるとわずかではあるが、分子量の減少が認められた。さらに、in silico解析から、ANGPTL2のO型糖鎖修飾部位を予測し、各候補修飾部位に変異を導入した変異体を作製することで、ANGPTL2におけるO型糖鎖修飾部位の同定に成功した。このO型糖鎖修飾部位同定の過程において、培養上精中における当該変異体が、野生型に比べてより多く切断されていることを見出した。ANGPTL2はTLL1によって切断されることから、TLL1による切断感受性を検討したところ、野生型に比べ変異体タンパク質のTLL1による切断感受性が有意に増加していることが明らかとなった。この結果から、ANGPTL2タンパク質のO型糖鎖修飾はTLL1による切断に対して保護的に作用していることが示唆された。
すべて 2016 その他
すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 備考 (1件)
Journal of Biological Chemistry
巻: 291 ページ: 18843-18852
10.1074/jbc.M116.720870
http://molegene.kumamoto-u.ac.jp