研究課題
体内で約24時間周期を刻む体内時計は、様々な生理機能の日内変動をもたらす。体内時計の挙動を可視化することのできPer2::Lucノックインマウスを用い、骨折治癒過程に生じる軟骨における体内時計の概日振動を確認した。さらに、より生体内の状態を反映した培養系を確立する目的で、一部の腱は切除し、大腿骨、腓骨や橈骨を、膝関節を維持したまま採取し、発光イメージングすることを試みた。この結果、脱臼させて採取した大腿骨と同様に、成長軟骨板に強い概日リズムを認めた。さらに、膝関節部の関節軟骨にも明瞭な概日リズムを観察することに成功した。また、前年度に報告した軟骨細胞モデル(ATDC5)での細胞レベルでの体内時計のアッセイ系の発展として、骨芽細胞のモデル細胞であるMC3T3-E1細胞で、温度に対する応答を検討した。MC3T3-E1細胞にBmal1プロモータによって誘導されるホタルルシフェラーゼ遺伝子を体内時計のレポーター遺伝子として導入した細胞株を作成した。この細胞に対し、一過性の温度変化を加えたところ、体内時計の位相が温度依存的に変位する(時刻が変わる)ことを見出した。さらに12時間おきに温度を変えた場合には、温度リズムに同調した発光リズムが形成されることを見出した。重要なことに、温度を変えるパターンを逆にした場合には、発光リズムは逆転した。これらのことは、MC3T3-E1の体内時計が、外部温度リズムに同調したことを示していた。
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Journal of Dermatological Science
巻: 86 ページ: 63-70
10.1016/j.jdermsci.2016.12.016.