研究実績の概要 |
コラーゲンに特徴的なアミノ酸配列(プロリン、ヒドロキシプロリン、グリシン)を有する人工コラーゲンを担体とした高齢者骨折治癒促法の開発を試みた。高齢者を模擬して 10ヶ月齡 C57BL/6J マウス骨折モデルを作製した。骨折部にリン酸緩衝液を投与した群(PBS群)、人工コラーゲンを投与した群(ACG群)、人工コラーゲンと塩基性線維芽細胞増殖因子を混合し投与した群(ACG/bFGF群)、人工コラーゲンコラーゲン結合型塩基性線維芽細胞増殖因子を混合し投与した群を(ACG/CB-bFGF群)を作成した。骨折モデル作製4週後に大腿骨を採取し、microCTを用いて仮骨量、新生骨量を測定した。また、骨形成促進メカニズムを検討するために、軟骨形成が認められる骨折後2週における組織学的検討を行った。 骨折後4週のACG/bFGF群における新生骨量、PBS群、ACG群に比べて有意に多かった。また、ACG/bFGF群における骨塩量は、PBS群に比べて多かった。ACG/CB-bFGF群における新生骨量、骨塩量はPBS群、ACG群、ACG/bFGF群に比べ有意に多かった。組織学的検討では、全群で軟骨形成を認められたが、PBS,ACG, ACGFGF群では、骨折部中央に線維芽様細胞の残存を認めた。一方、ACGFGFCBD群では骨折部中央に線維芽様細胞が見られず、仮骨は軟骨様細胞で構成されていた。CB-bFGFと人工コラーゲン材料の組み合わせは高い骨形成促進能を有していた。担体に動物由来タンパクを用いない本シーズは高齢者骨折治癒促進法として有用であると考えられた。
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