研究課題
サルコペニアの痛みの発症機序について調査した。まず、加齢にともなう骨格筋内に発現する物質を調査するために、12週令から96週令までのSDラットの傍脊柱筋と大腿四頭筋における炎症性サイトカイン(TNFα、IL-6)及び、アディポサイトカインであるレプチンの発現の加齢性変化を検討した。結果、高齢ラットの傍脊柱筋、大腿四頭筋におけるレプチン、TNFα、IL-6の発現は上昇していた。次に、加齢に伴い筋内に発現上昇したレプチンが、TNFαやIL-6の発現に与える影響について検討した。in vitroの系において、筋細胞に対してレプチンの刺激の有無によるTNFα、IL-6の発現量の変化を調査した所、筋細胞におけるTNFα発現はレプチン刺激により増加することがわかった。以上より、加齢に伴い骨格筋におけるレプチン発現が増加し、TNF-αを誘導することで炎症性環境形成に関わる可能性が示された。また、前年に引き続き、骨粗鬆症の痛みの発症機序について更なる調査を行った。前年度の研究において、卵巣摘出後骨粗鬆症モデルの大腿骨や腰椎においてIL-1βと神経成長因子(NGF)の発現上昇が確認されたため、本年度はIL-1βとNGFとの発現の関係について調査を行った。卵巣摘出を行ったマウスから両側大腿骨を摘出し、骨髄を採取し、コラゲナーゼ連続処理法を用いて、骨組織から骨芽細胞の分離抽出を行った。in vitroの系において、骨芽細胞に対して、IL-1β刺激の有無によるNGFの発現量を調査した所、IL-1β刺激によりNGFの発現量は上昇していた。また、高齢者運動器不安定症の代表として変形性膝関節症モデルにおいても調査した所、膝滑膜においても同様の変化が起こっていることがわかった。
すべて 2017 2016
すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件、 オープンアクセス 2件、 謝辞記載あり 2件) 学会発表 (3件) (うち招待講演 3件)
J Immunol Res.
巻: - ページ: 2017:9832430.
10.1155/2017/9832430.
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