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2016 年度 実施状況報告書

滑膜に発現するパールカンの調整による変形性膝関節症の骨棘制御

研究課題

研究課題/領域番号 15K20019
研究機関順天堂大学

研究代表者

金子 晴香  順天堂大学, 医学部, 助教 (50445516)

研究期間 (年度) 2015-04-01 – 2018-03-31
キーワード変形性膝関節症 / 滑膜 / 骨棘 / パールカン / 軟骨分化
研究実績の概要

変形性膝関節症(膝OA)の多岐にわたる分子レベルの病態の理解はいまだ乏しく, 病態の主座である軟骨変性のみでなく, 半月板・軟骨下骨・骨棘・滑膜等にも焦点をあて研究する必要性が求められている. 我々は, 滑膜に発現するパールカンに焦点をあて, その発現が欠損すると滑膜間葉系細胞(MSCs)から軟骨への分化を経て, 骨棘へ分化する過程の初期段階が抑制されることをin vivo, in vitroにおいて示してきた. しかし, 滑膜のパールカンの膝OAの骨棘形成過程にはいまだ不明な点が残る. 本研究の目的は, 膝OAに対するパールカンの治療応用へ向け, 滑膜MSCsから軟骨分化を経て骨棘形成に至る過程でのパールカンの作用機序を解析することである.
平成27年・28年度において, 関節内では軟骨にのみパールカンを発現し, 滑膜にはパールカンを発現しないマウス(Hspg2-/-Tg)と同腹のパールカン野生型マウス(Hspg2+/+Tg)を対象マウスとして用いて実験を行った. Hspg2-/-Tg滑膜と対照滑膜でその形態に差はなかった. 次に, Hspg2-/-Tg滑膜において, DNAマイクロアレイを用いて網羅的に解析し, 対象滑膜の2倍以上発現の亢進している2遺伝子(CCL21,Mmrn1)を検出した. そのうち,CCケモカインのサブファミリーで,CCR7と結合し,さらにヘパラン硫酸プロテオグリカンと強い結合性を持つことが報告されているCCL21[Chemokine (C-C motif) ligand 21]に注目した. Hspg2-/-Tgの滑膜では, in vivoにおいてもin vitro においてもCCL21の発現が有意に高いことが示された.

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

前年度遅れを生じていた, 培養装置の感染等による滑膜細胞培養段階での遅れは解決した. また, DNAマイクロアレイ解析も受託サービスを利用することにより良好な結果が得られている. 実験結果を得られており, おおむね順調に進んでいる.

今後の研究の推進方策

平成29年度は, パールカンとCCL21の関係性, およびその上流および下流シグナル,タンパクレベルの表現型について解析を滑膜培養細胞およびマウス膝OAモデルを用いて行う.  滑膜MSCsから3次元培養を用いた軟骨分化の過程の誘導後3h, 12hでの遺伝子発現に関してDNAマイクロアレイを用いて網羅的に解析を終えており, その結果より導き出される遺伝子の発現の確認やシグナル解析を行う.

次年度使用額が生じた理由

実験計画は順調に進んでいるが, DNAマイクロアレイの受託費の抑制や海外への研究打ち合わせ等に関してメールにて行ったこと, 学会発表を次年度に繰り越したこと等により, その支出分に差が生じた.

次年度使用額の使用計画

H29年度の実験の遂行および繰り越した学会発表による成果発表, また成果の公表に向け予算を使用予定である.

  • 研究成果

    (5件)

すべて 2017 2016 その他

すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (1件) (うち国際共著 1件、 査読あり 1件、 謝辞記載あり 1件) 学会発表 (3件) (うち国際学会 1件)

  • [国際共同研究] National Institutes of Health/Hospital for Special Surgery(米国)

    • 国名
      米国
    • 外国機関名
      National Institutes of Health/Hospital for Special Surgery
  • [雑誌論文] Perlecan is required for the chondrogenic differentiation of synovial mesenchymal cells through regulation of Sox9 gene expression.2017

    • 著者名/発表者名
      Sadatsuki R, Kaneko H, Kinoshita M, Futami I, Nonaka R, Culley KL, Otero M, Hada S, Goldring MB, Yamada Y, Kaneko K, Arikawa-Hirasawa E, Ishijima M
    • 雑誌名

      Journal of Orthopaedic Reseach

      巻: 35 ページ: 837-846

    • DOI

      10.1002/jor.23318

    • 査読あり / 国際共著 / 謝辞記載あり
  • [学会発表] パールカンによる滑膜間葉系細胞からの軟骨分化制御2016

    • 著者名/発表者名
      木下 真由子, 金子 晴香, 石島 旨章, 定月 亮, 二見 一平, 羽田 晋之介, 有田 均, 塩澤 淳, 平澤 恵理, Goldring Mary, 山田 吉彦, 金子 和夫
    • 学会等名
      第31回日本整形外科学会基礎学術集会
    • 発表場所
      福岡県
    • 年月日
      2016-10-13 – 2016-10-14
  • [学会発表] パールカンによる滑膜間葉系細胞からの軟骨分化制御2016

    • 著者名/発表者名
      木下 真由子, 石島 旨章, 金子 晴香 定月 亮, 二見 一平, 平澤 恵理, Yamada Yoshihiko, 金子 和夫
    • 学会等名
      第48回日本結合組織学会学術大会
    • 発表場所
      長崎県
    • 年月日
      2016-06-24 – 2016-06-25
  • [学会発表] Perlecan regulates chondrogenic differentiation from synovial mesenchymal cells via Smad and MAPK signaling pathways2016

    • 著者名/発表者名
      Mayuko K, Kaneko H, Sadatsuki R, Futami I, Hada S, Arita H, Shiozawa J, Hirasawa-Arikawa E, Yamada Y, Kaneko K, Ishijima M
    • 学会等名
      OARSI 2016 World Congress
    • 発表場所
      Amsterdam, Netherlands
    • 年月日
      2016-04-01 – 2016-04-03
    • 国際学会

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公開日: 2018-01-16   更新日: 2022-02-16  

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