研究実績の概要 |
まず第一弾として頸椎症性神経根患者の罹患頸神経根と、同じ頸椎レベルの正常者の正常頸神経根を比較し、罹患頸神経根は著明な浮腫政変かを示したと英語論文で発表した(M.Takeuchi, European Radiology 2017)。次に、頸椎症性神経根症患者において罹患頸神経根と反対側の正常神経根ではどうかを調査した。 対象患者は頸椎症性神経根症を患った102名(男性65名、女性37名、平均年齢52歳)である。超音波技師4名により罹患神経側と正常神経側の神経断面積を計測した。Reference StandardはMRIである。超音波技師には患者の病歴、罹患神経などは知らせずBlindで検査をおこなってもらった。頸椎症性神経根症患者の罹患神経根断面積は、正常神経根面積と比較して、著明な浮腫変化を起こしていたことがわかった。その診断的カットオフ値は、第五頸神経根12.2mm2(感度80%、特異度90%、第六頸神経根16mm2(感度85%、特異度96%、第七頸神経根14.5mm2(感度89%、特異度91%)であった。超音波技師の検内一致率は0.71, 0.74, 0.61, 0.71で、検者間一致率は0.71だった。 さらに、頸椎症性神経根症患者16名において造影超音波法を用いることにより、罹患頸神経根と正常神経根の血流動態を調査した。罹患神経根は正常神経根と比較して有意な造影効果の遅延(造影剤iv開始直後から造影ピークまでの時間:罹患神経根19秒、正常神経根14秒, P<0.01)が認められ、それは罹患神経根じたいに血流の鬱血が起こっていることが強く示唆された。以上より、頸椎症性神経根症患者は頸神経根の絞扼性障害により、罹患神経根の浮腫変化と神経自体の血流鬱血は密接に関与していると思われた。
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