研究実績の概要 |
本研究では,非脱分極性筋弛緩薬に抵抗性を有する廃用性筋萎縮モデルにα7AChRs特異的阻害薬であるArIBを先行投与することにより,ArIBが無効なα7KOに比べ野生型において,続く成熟型AChRs特異的阻害薬であるwaglerin-1投与による筋弛緩効果を有意差に得ることができた. Real-time PCRの結果において,筋萎縮側では健常側の約2.4倍のα7AChRsが発現していることから,この廃用性筋萎縮によって増幅したα7AChRsがArIBによって阻害されたことにより,続くwaglerin-1の効果を増強されたと考えられる. 野生型の神経刺激による誘発筋収縮反応においても筋萎縮側と健常側の筋弛緩薬抵抗性に統計学的有意差はないが,その差がp=0.125とArIBのα7AChRs阻害だけで完全に筋弛緩薬抵抗性を改善させたとは言い難い結果となった.この機序の一因として,野生型の筋萎縮側のγサブユニットの発現は健常側に対し約7.5倍と増加しており,胎児型AChRsの筋弛緩薬抵抗性への関与の可能性を今後検討する必要があることが示唆された.
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