睡眠効率とせん妄の発症の関係を調査することが研究の主目的であるが、睡眠効率を計測するための非接触型モニターの臨床応用化をさらに進めた。 本研究に先立って、共同研究者の研究チームで実際に健康ボランティア及び緩和ケア病棟の患者に装着し、非接触型モニターを用いて呼吸数、心拍数、睡眠、体重などを計測できるかについてデータ採取した。既存の接触型モニターと比較して孫色なく計測できることを確認し、健常ボランティアのデータに関しては論文掲載予定である。 呼吸数・体重は正確に測定できたが、睡眠時間、睡眠効率についてはさらなる波形の解析を継続し実臨床での応用に向けてデータ解析中である。 当初、研究に用いる予定であったアクチグラフは前腕に装着して睡眠効率を計測するモニターであるが、周術期は静脈路などによって行動が制限されるため正確に計測できない可能性があった。非接触型モニターを用いることでその問題点を解決できるの可能性がある。 またもう一つの問題点であるせん妄の診断には簡易型のCAM-ICUでの診断がDSMⅤやCAM-ICUとせん妄を診断できることが他の研究でも報告され、本研究でもそちらを用いることとなった。また本研究においてはせん妄リスクスコアを日本語版にしたものも同時に術前にスコアリングすることでその有用性についても調査する。 研究に用いる非接触型モニターの準備が昨年度までに完了し、本年度から術後患者に装着して研究開始予定である。術後患者に装着し、せん妄発症患者と非発症患者での睡眠効率の違い、また睡眠パターンの違いを明らかにすることでせん妄発症のメカニズム解明や治療・予防に新たな方法を提供できるか模索する。
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