・目的:近年、麻酔薬による神経毒性が指摘されている。我々は小胞体機能が障害された遺伝子変異マウスを用いて、吸入麻酔薬による神経毒性の分子機序を検討した。 ・成果:変異BiP(小胞体シャペロン分子)ノックインマウスと野生型マウスを胎生期に吸入麻酔薬セボフルランに曝露すると、短期的には変異BiPノックインマウスにおいて、神経細胞死が多く誘導される傾向がみられた。長期的には加齢による認知機能低下が早まる可能性が示唆された。 ・考察:吸入麻酔薬は小胞体機能を阻害することが示唆され、短期的にも長期的にも神経障害につながる可能性がある。神経毒性に感受性の高い個体において、麻酔薬の使用量を考慮する必要がある。
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