研究課題
若手研究(B)
本研究では、足底筋を凍結および切開したラットのその後の痛みを比較して調べた。足底筋凍結群で切開群に比べて痛み行動が増強し、遷延した。熱性痛覚過敏や短期的な神経活動のマーカーについては両群で明らかな差がなかった。しかし、傷害した足底筋では、炎症反応の有意な増強が示された。また、足底筋凍結群で、脊髄後角における有意なマイクログリア発現増加があり、7日後もそれは遷延した。このことから、筋の凍結は、局所に神経損傷に起因する慢性炎症を引き起こし、それが疼痛行動を引き起こすということが示された。
麻酔科学
いまだあきらかにされていない遷延性術後痛発生のメカニズムについて、手術創部における慢性炎症がターゲットとなる可能性を示した。行動学的研究、免疫組織学的研究、炎症細胞の分離などの手法でそれを示した。遷延性術後痛の基礎研究において、より強い慢性炎症を生じ、痛み行動が増強、遷延した動物モデルを作成したという点でも学術的に意義があると考えられる。今後遷延性術後痛の研究が進めば、術後に痛みで苦しむ患者が減り、医療資源の効率化にもつながる。