研究課題
マウスの心臓の冠動脈を30分間虚血し、その後2時間再灌流を行う虚血再灌流実験を施行した。虚血再灌流の直後に、心筋保護作用を期待するポストコンディショニング刺激としてGLP-1 (グルカゴン様ペプチド)誘導体であるExendin-4を投与したGLP-1群、吸入麻酔薬のイソフルランを1MAC(Minimum Alveolar Concentration)で5分間投与した群の刺激を行った群を作成した。それらの心臓を取り出し、ホモジナイズし、タンパク定量を行い心筋保護ポストコンディショニング作用のメディエイターと考えられているタンパクが増加しているかどうかをイムノブロッティング法にて検討した。何も刺激をしていない虚血再灌流のみのコントロール群と比較した結果、Akt、GSK3β、PI3Kのタンパク発現がイソフルランおよびGLP-1によってポストコンディショニング刺激を行った場合に増加していることが明らかとなった。さらに、摘出心臓を用い組織切片を作成し、GLP-1 受容体抗体とメディエイターの抗体とを共に蛍光抗体反応させ、共焦点顕微鏡を使用しタンパクの局在を同定した。その結果、イソフルランによるポストコンディショニング刺激を行うとGLP-1受容体抗体(赤色蛍光物質を結合)と上記タンパク質(緑色蛍光物質を結合)が共発現している黄色発光割合がコントロール群と比較して増加していることが共焦点顕微鏡にて認められた。これらの結果からイソフルランにおけるポストコンディショニング様心筋保護作用はAkt、GSK3β、PI3Kの経路を介し、それらの発現にはGLP-1受容体も重要な役割を演じていることが明らかになった。
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A&A Case Reports 2017
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