研究課題/領域番号 |
15K20047
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研究機関 | 愛媛大学 |
研究代表者 |
西原 佑 愛媛大学, 医学部附属病院, 助教 (50568912)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | マイクログリア活性化 |
研究実績の概要 |
神経因性疼痛時において、化合物XによるJAK1/STAT1経路への干渉の疼痛軽減効果もしくは治療効果の検討を続けている。化合物Xはマクロファージやマイクログリアなどの単球系細胞に対し、JAK1/STAT1経路を阻害することにより抗炎症作用を発揮するが、化合物Xの神経因性疼痛における抑制効果はある程度観察できており、分子レベルの効果発現メカニズムをウエスタンブロッティングや定量的リアルタイムRT-PCRで解析を進めている。 さらに、本研究中に行った免疫組織化学により、脊髄前角と脊髄後角におけるマイクログリアの活性化に形態学的な違いを見出した。神経因性疼痛において脊髄後角でのマイクログリアの活性化が報告されて久しく、その疼痛との関連や分子メカニズムなど広く研究されてきている。しかしながら、研究のターゲットは主に脊髄後角での活性化に集中しており、脊髄前角における活性化に関しては報告が無い。 脊髄前角では平たいマイクログリアが神経に接触し、synaptic strippingの状態となっているが、脊髄後角ではアメーバ状にマイクログリアが活性化しているが神経細胞への接触は認められない。そこで、脊髄におけるマイクログリア活性化部分を脊髄前角と後角に分け、貪食関連因子などのmRNA発現レベルなどを比較した。その結果、補体の活性化およびその受容体は前角よりも後角で優位に上昇していたが、Eat-me signalとして知られるGas6や活性化のマーカーと考えられるNG2は後角よりも前角で発現が上昇していた。 これらの結果から、前角および後角におけるマイクログリアの異なった活性化の起こり方は、異なった働きを担っていると考えられる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
化合物Xの神経因性疼痛において一定の効果を認めている。しかしながら、未だに分子レベルの効果発現メカニズムなどは不明であり、現在ウエスタンブロッティングや定量的リアルタイムRT-PCRで解析・検討を進めている。
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今後の研究の推進方策 |
化合物Xの投与を末梢神経絞扼後1週間続けることで、1週間での効果を判定する方法で研究を行っているが、化合物Xの抗炎症作用の短期的な疼痛軽減効果についても検討する。例えば投与後数時間での疼痛軽減効果についても、投与前と比較することで判定する。長期的な効果のみにとらわれず、短期的なマクロファージ/マイクログリアの抑制効果を新たな検討項目として考慮している。
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次年度使用額が生じた理由 |
出張経費等、一部次年度に使用したいため、繰り越した。
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次年度使用額の使用計画 |
出張や論文の提出費用などに使用予定。
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