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2015 年度 実施状況報告書

トランスクリプトーム解析による術後悪心嘔吐の予測マーカーの確立

研究課題

研究課題/領域番号 15K20050
研究機関札幌医科大学

研究代表者

早瀬 知  札幌医科大学, 医学部, 助教 (20579007)

研究期間 (年度) 2015-04-01 – 2018-03-31
キーワード麻酔科学
研究実績の概要

術後悪心嘔吐の機序を解明し、予防法を確立するため平成27年度、申請者は全身麻酔モデルマウスを作製し、脳内の全mRNA網羅的解析(トランスクリプトーム解析)を行った。幼若マウスにおいては、全身麻酔薬曝露によって最も発現が増大する遺伝子の機能は神経幹細胞の分化に影響を与える遺伝子であり、ヒトにおいて幼年期の全身麻酔薬曝露による注意多動性障害のトリガーとなりえるという、臨床的にこれまで報告されている知見を裏付ける知見が得られた。嘔気嘔吐に関与すると思われる遺伝子として、本研究を通じてTac1、Chrna6、Chrm1、Chrm5、Drd2遺伝子の増大が認められた。いづれも吸入麻酔薬曝露によって8倍以上の遺伝子発現の増大が認められ、これらの遺伝子の発現を阻害することが、吸入麻酔薬使用後に術後悪心嘔吐を予防できる可能性が示唆された。一方で化学療法後の悪心嘔吐の治療薬として使用されている5HT3拮抗薬の作用部位であるセロトニン受容体の遺伝子発現は変化が認められず、術後悪心嘔吐にはセロトニン受容体拮抗薬は無効であるかもしれない可能性が示唆された。本年度は手術侵襲の加えられていないマウスを対象に研究を行ったため、手術侵襲の内容によっては異なる結果となる可能性も存在するが、これらの発見は全て新規であり、今後術後悪心嘔吐の機序を解明し、臨床的な治療法・予防法の解明にむけて重要な知見であると考えられる。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

当初の研究計画通り、全身麻酔モデルマウスにおいてトランスクリプトーム解析を実施し、悪心嘔吐の原因となりえる候補遺伝子の選定が可能であった。

今後の研究の推進方策

今後は他系統のマウスを用いての同様の研究を行うことや、手術侵襲を加えることで発現変動が認められる遺伝子が変化するかなどの検討を行う予定である。

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2015

すべて 学会発表 (2件) (うち国際学会 2件) 学会・シンポジウム開催 (1件)

  • [学会発表] Possible Mechanism of Neuroinflammation Induced by Surgical Procedure in the Mouse Hippocampus Determining by Using Transcriptome Analysis.2015

    • 著者名/発表者名
      Tachibana S, Hayase T, Yamakage M.
    • 学会等名
      The Annual Meeting of American Society of Anesthesiologists
    • 発表場所
      San Diego, USA
    • 年月日
      2015-10-24 – 2015-10-28
    • 国際学会
  • [学会発表] Prediction of Molecular Mechanism of Postoperative Nausea and Vomiting Using Transcriptome Analysis2015

    • 著者名/発表者名
      Hayase T, Tachibana S, Yamakage M.
    • 学会等名
      The Annual Meeting of American Society of Anesthesiologists
    • 発表場所
      San Diego, USA
    • 年月日
      2015-10-24 – 2015-10-28
    • 国際学会
  • [学会・シンポジウム開催] The Annual Meeting of American Society of Anesthesiologists2015

    • 発表場所
      San Diego, USA
    • 年月日
      2015-10-24 – 2015-10-28

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公開日: 2017-01-06  

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