研究実績の概要 |
(具体的内容)前年度に作成したアセトアミノフェンの薬物動態モデル解析について専門誌に投稿し出版された。その査読の過程でさらにモデルの精度は向上した。改善した予測精度は許容範囲内(Median Prediction Error = -1 %, Median Absolute Prediction Error = 10%)であった。モデル式はV1=11.8*(体重/70)L,V2=29.8*(体重/70)L,CL1=0.22*(体重/70)0.75(SUP)L/min,CL2=1.21*(体重/70)0.75(SUP) L/minであり、また得られたアセトアミノフェン血中濃度データを用いて、外国人からのサンプルを用いて作成された薬物動態 モデルを検証した。Wurthweinらのモデルが許容可能な精度(Median Prediction Error = -4 %, Median Absolute Prediction Error= 15%)を示したことから、静脈投与用アセトアミノフェンのコンパートメント解析による薬物動態に関しては、人種差は大きな影響を来さないと結論した。さらに、アセトアミノフェン製剤の添付文書に記載された画一的な投与方法では、患者の体重によって最大血中濃度や、血中濃度が治療域を上回っている時間が短くなる可能性を示唆した。 (意義・重要性)これまで発表されていなかった日本人の成人患者を母集団とする、静脈注射用アセトアミノフェンのコンパートメントモデルを発表した。本モデルを用いることで投与履歴から薬物血中濃度を推定可能になった。加えて、適切な投与計画を立てるためのシミュレーション等、広く使用が可能である。
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