研究課題/領域番号 |
15K20058
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研究機関 | 奈良県立医科大学 |
研究代表者 |
新城 武明 奈良県立医科大学, 医学部, 助教 (70624914)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | NMBAs / アストロサイト / 神経伝達物質 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は神経筋遮断薬(NMBAs)が神経筋接合部だけではなく、中枢神経系にも作用を及ぼすか否かを解明することである。本申請では特に、アストロサイトに焦点を当て、NMBAsがアストロサイトの機能(神経伝達物質やグリア伝達物質の放出)にどのような影響を与えるか、またその結果、神経機能がどのような作用があるのか解析を行っており、研究成果はNMBAsの新たな薬理作用による治療または副作用の抑制に役立つと期待される。 本年度の計画としては、初代培養アストロサイトを用いてNMBAsのアストロサイトの機能への影響を検討する。評価する機能としては神経伝達物質であるグルタミン酸取り込み能への影響を評価した。使用するNMBAsとしては非脱分極性の薬剤であるロクロニウム、スキサメトニウムの2剤を用いて検討した。 予備検討の段階ではロクロニウムの処置によりアストロサイトのグルタミン酸取り込み能の上昇が認められていたが、検討を続けた結果、増加傾向は観察されたが、有意な差は認められなかった。また、NMBAsの一種であるスキサメトニウムを用いて同様の検討を行ったが、やはり有意な差は認められなかった。さらに、NMBAsはアセチルコリン受容体を介して作用することから、アセチルコリン受容体アゴニストを用いてグルタミン酸取り込み能の変化を検討したが、やはり増加傾向は見られたものの、有意な差は認められなかった。 以上の結果より、NMBAsは培養アストロサイトにおいてグルタミン酸取り込み能には影響を与えないと思われる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
本年度の予定としては、初代培養アストロサイトを用いてNMBAsのアストロサイトの機能への影響を解析する予定であったが、グルタミン酸取り込み能の検討に予想以上に時間がかかり、グリア伝達物質の放出への影響はまだ検討が終了していない。よって当初の計画より遅れ気味である。
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今後の研究の推進方策 |
初予定していた神経筋遮断薬(NMBAs)が中枢神経系に及ぼす影響の評価の研究は有意なデータが得られなかったため、新たな実験系を追加した。酸化ストレスによる細胞障害に対して麻酔鎮静薬であるプロポフォールが保護作用を持ち、その保護作用がもたらされる細胞内シグナルを解明する研究に変更している。新たな実験系を立ち上げるのに時間がかかったため、当初予定していた2年では終わらずに追加実験が必要な状態である。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初予定していた神経筋遮断薬(NMBAs)が中枢神経系に及ぼす影響の評価の研究は有意なデータが得られなかったため、新たな実験系を追加した。酸化ストレスによる細胞障害に対して麻酔鎮静薬であるプロポフォールが保護作用を持ち、その保護作用がもたらされる細胞内シグナルを解明する研究に変更している。新たな実験系を立ち上げるのに時間がかかったため、当初予定していた2年では終わらずに追加実験が必要な状態である。
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次年度使用額の使用計画 |
心筋細胞由来の培養株に酸化ストレスを与えるモデルを立ち上げて、プロポフォールによる保護作用がもたらされる細胞内シグナルを解明する研究を立ち上げて開始している。
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