研究課題/領域番号 |
15K20061
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研究機関 | 日本大学 |
研究代表者 |
近藤 裕子 日本大学, 医学部, 助手 (40599031)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 近赤外分光法 / 心拍出量 / 体血管抵抗 |
研究実績の概要 |
帝王切開術における脊髄くも膜下麻酔導入後には、血圧低下に伴い母体局所脳組織の血液量や酸素飽和度が低下する。脊髄くも膜下麻酔導入後の血圧低下は、妊娠子宮による下大静脈圧迫に伴う心拍出量の低下と脊髄くも膜下麻酔による体血管抵抗の低下により生じる。本研究では、脊髄くも膜下麻酔中の母体局所脳組織の血液量および酸素飽和度の変化と体循環(心拍出量、体血管抵抗)変動との関係を検討する目的で、近赤外分光法(Niro-200NX:浜松ホトニクス社製)と低侵襲血行動態モニター(フロートラック・ビジレオモニター:エドワーズライフサイエンス社製)による測定を同時に行った。 平成27年度では、研究開始前に本研究のUMIN-CTRへの登録および院内倫理委員会の承認を得た。その後は計画通り、術中の大量出血に備え観血的動脈圧測定をおこなう予定の脊髄くも膜下麻酔下帝王切開術を受ける症例を対象に本研究への参加募集をおこない、本研究内容に同意が得られた症例に対して研究をおこなった。現在までに目標症例数の約半数のデータ取得が完了した。その結果では、脊髄くも膜下麻酔導入後には血圧の低下に伴って母体局所脳組織の血液量や酸素飽和度が低下すること、また体循環変動については、心拍出量は維持されるが体血管抵抗は著明に低下することが確認された。これらの結果はいずれも先行研究を踏襲するものであった。さらに、脊髄くも膜下麻酔導入後に生じる母体局所脳組織の血液量と酸素飽和度の低下は、心拍出量の変化に比較し、体血管抵抗の変化に依存する傾向が認められた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成27年度では目標症例数の約半数のデータ取得が完了した。申請した計画通りに研究をおこない、予定通りに研究の遂行およびデータの取得が安全におこなえることが確認できた。また、研究遂行中の近赤外分光法プローブの脱落や動脈圧測定ラインの一時的な不具合など、研究手法上の問題点も明らかとなった。問題点の対応策としては、プローブの脱落予防のためにヘアーバンドの装着と動脈圧ライン挿入部のシーネ固定が必要であることが分かった。
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今後の研究の推進方策 |
申請した計画通りに28年度も同様の研究をおこない、目標症例数である20症例のデータ取得を目指す。データ取得終了後は、各測定項目の経時変化について一元配置分散分析にて解析し、局所脳組織の血液量ならびに酸素飽和度の変化と体循環変動との関係については、20秒毎の総ヘモグロビン濃度ならびに組織酸素化指数の変化値と心拍出量および体血管抵抗の変化値とについて、それぞれの相関係数を求めて評価する。
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次年度使用額が生じた理由 |
平成27年度では目標症例数の約半数のデータ取得が完了した。しかし、目標症例数の半数のため、必要物品の購入が遅れた。
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次年度使用額の使用計画 |
申請した計画通りに28年度も同様の研究をおこない、目標症例数である20症例のデータ取得を目指し、必要物品の購入を行う。
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