研究課題/領域番号 |
15K20065
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研究機関 | 産業医科大学 |
研究代表者 |
大倉 暖 産業医科大学, 医学部, 助教 (00596710)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 難治性慢性疼痛 / ATP受容体 / P2X7受容体 / P2X7受容体抑制機構 / ニューロステロイド / 新たな鎮痛薬開発 |
研究実績の概要 |
侵害受容性疼痛や神経障害性疼痛を成因とする難治性慢性疼痛の病態については未だ解明されておらず、現在の鎮痛薬では無効な例も多く、新たな鎮痛薬の開発は急務である。近年、慢性疼痛の発生機序として、ATP受容体サブタイプの一つであるP2X7受容体の活性化が深く関わっていることが示されているが、P2X7受容体活性化の調節機構そのものについて不明な点が多く、これを解明することが重要な鍵となると考えられる。そこで、P2X7受容体をターゲットにした新たな鎮痛薬開発に貢献することを目的として、研究計画を立てた。①電気生理学的手法(アフリカツメガエル卵母細胞発現系)を用いたP2X7とP2X3受容体に対するニューロステロイド(NS)の影響解析、②P2X7とP2X3受容体のcRNAを用いたキメラ型cRNAの作成、③電気生理学的手法を用いたキメラ型P2X受容体に対するNSの影響解析による作用部位の同定、④侵害受容性疼痛・神経障害性疼痛モデルマウスに対するNSの疼痛抑制効果の解析、⑤遺伝子変異マウスに対するNSの疼痛抑制効果の解析、である。 NSであるアロプレグナノロン硫酸塩(APS)、プレグネノロン硫酸塩(PS)、プレグナノロン硫酸塩(PAS)、デヒドロエピアンドロステロン硫酸塩(DHEAS)と、ステロイド系抗炎症薬であるデキサメタゾンのP2X7受容体に対する影響を電気生理学的に解析したところ、PAS、DHEAS、デキサメタゾンは、弱い抑制作用しか示さなかったが、APS 、PSは共に強い抑制作用を持ち、PSの作用が最も強いことを発見した。さらに、APS、PSの抑制機序を解析したところ、共にATP誘発性電流を拮抗阻害的に抑制することを確認した。今後、これらの結果を踏まえ、分子生物学的手法を用いてP2X7受容体機能抑制機構を解明していく予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
P2X7受容体のATP誘発性電流に対するアロプレグナノロン硫酸塩(APS)とアロプレグネノロン硫酸塩(PS)の抑制機序が非拮抗阻害であることを確認した。
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今後の研究の推進方策 |
これまでの結果を踏まえて、分子生物学的手法を用いてニューロステロイドによるP2X7受容体機能抑制機構を解明していく予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
残額が予定していた試薬・消耗品を購入するための金額に満たなかったため。
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次年度使用額の使用計画 |
次年度分と合わせて、試薬・消耗品の購入に使用する予定。
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