研究実績の概要 |
本研究課題は,メラトニン及びラメルテオンの小児麻酔後覚醒時せん妄予防効果を明らかにするために,平成27年度から平成31年度にかけてメタ解析とランダム化比較試験を連続的に行う計画である メタ解析研究は平成27年度に終了しており,その結果を同年のヨーロッパ麻酔学会で発表するとともに,European Journal of Anaesthesiology誌(査読付き英文誌)に論文発表した.結果の概要としては,(1)メラトニンの麻酔前投薬による小児麻酔後覚醒時せん妄予防効果はプラセボと比較した場合にリスク比が0.31(95%信頼区間:0.16 - 0.60)であること,(2)現在までのエビデンスの蓄積はいまだ不十分であり,確定的な結論を得るために必要な症例数の22%程度までしか集まっていないことが分かった. 平成28年から継続してランダム化比較試験を遂行し,研究を平成31年3月に終了した.合計50名の小児患者を解析した結果,ラメルテオン0.1mg/kg前投薬による小児麻酔後覚醒時せん妄の予防効果はプラセボと比較した場合にリスク比が1.0(95%信頼区間:0.67 - 1.46, P>0.99)であり,効果を認めない事が分かった.本研究結果により,ラメルテオン通常量による覚醒時せん妄予防効果は否定されたが,高用量による効果については言及できない.そのため,将来的に高用量ラメルテオンによる有用性を検討する研究が必要と思われた.本研究結果は,2019年6月のヨーロッパ麻酔学会で報告する事が決定しており,また査読付き英文論文として投稿準備中である.
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