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2015 年度 実施状況報告書

腎血管内皮細胞と赤血球における血液型糖鎖抗原の特異性の解析と移植への応用

研究課題

研究課題/領域番号 15K20074
研究機関新潟大学

研究代表者

田崎 正行  新潟大学, 医歯学総合病院, 特任助教 (40571906)

研究期間 (年度) 2015-04-01 – 2017-03-31
キーワードABO血液型抗原 / ABO血液型不適合腎移植
研究実績の概要

ABO血液型の異なるABO血液型不適合移植の成績は、ABO血液型適合移植と遜色ないことがわかっている。ABO血液型不適合腎移植では、自身と異なるABO血液型抗原(移植腎)が体内に存在し、それに対応する抗体を患者が所有していても移植後ある一定期間を過ぎると臨床的には問題が起こらないが、そのメカニズムは今尚わかっていない。本研究の目的は、『ABO不適合腎移植におけるABO抗原と抗ドナー血液型抗体の多様性について解析し、抗原と抗体が共存できるメカニズムを追究する』ことである。
我々は、ヒト腎血管内皮細胞の表面に発現するABO抗原を持つ糖蛋白質の解析を報告している。臨床の現場でABO血液型に反応する抗体の指標には、赤血球の凝集反応を用いているが、我々の解析では赤血球のABO血液型抗原の存在様式と腎血管内皮細胞のそれとは同一ではないことが分かった。
そこで、ヒトがもつ抗A/B抗体の多様性を様々な角度から検証し、腎臓の血管内皮細胞に特異的に反応する抗体を測定する方法を確立、実際の臨床現場で拒絶反応が起こりやすい患者を識別できることを目標に研究を遂行している。さらに、ABO血液型不適合腎移植後、臨床上何も問題がないメカニズムについて解析を進めている。
本研究では、腎臓と赤血球に発現するABO血液型抗原のサブタイプ解析を行い、抗原側との相違を検討する。また、同時にヒトが保有する抗A/B抗体のサブクラスを解析する。さらに、我々の過去の研究結果より腎血管内皮細胞を模倣したABO血液型糖鎖抗原を合成し、赤血球を用いた表集反応との違いを検証する。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

研究協力者である産業技術総合研究所の糖鎖創薬技術研究センターにてA型、B型、O(H)型それぞれのType1-Type4のcore structureを導入したアレイを用いて、抗体のサブクラス解析を行える状態である。初年度は、実際のヒト血清を使用した作成したアレイの特異性の検討を行った。また、当科で行ったABO不適合腎移植患者の血清サンプルを収集し、測定準備が完了した状態である。
また、過去の我々の解析でヒト腎血管内皮細胞のABO血液型抗原がPECAM1に発現していることから、培養血管内皮細胞にPECAM1とABO血液型抗原を強制発現させて、その培養細胞から分泌される蛋白質を利用した抗A/B抗体の測定系を完成させた。
さらに、ABO血液型抗原のサブクラスを識別できる抗体を各種検証している最中である。

今後の研究の推進方策

今後は、腎移植患者の持つ抗A/B抗体のサブクラス解析、腎血管内皮細胞を模倣したABO抗原に対する抗体の反応との比較、さらに実際の移植腎に発現するABO血液型抗原との対比を行い、ABO血液型不適合腎移植において、拒絶反応が起こる可能性がある患者の識別ができるか検証する予定である。

次年度使用額が生じた理由

初年度に行う予定だった実験のうち実施できなかったものがあり(ヒト腎血管内皮細胞のABO血液型抗原の解析に使用する抗体の購入や質量分析計の解析)、その分の研究費用が余ったため。

次年度使用額の使用計画

次年度に、ヒト腎血管内皮細胞のABO血液型抗原の解析に使用する抗体の購入(多数あり)、質量分析計を用いた解析依頼を行うため、その研究に前年度の助成金の余りを使用する予定である。

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公開日: 2017-01-06  

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